介護士の業務として、欠かせないのが、レクリエーション(以下、レク)です。
しかし、介護士の中には、このレク業務が苦手だと言う人が多いですよね。
準備が大変だったり、ネタがなく何をしたら良いかわからない。
あなたも、そう思ったことありませんか?
この記事では、レク業務を苦手にならずにスムーズに行えるようなポイントを紹介していきます。
レクとは
一般的なレクとは娯楽や余暇活動、休養といった意味がありますが、介護でのレクには違った意味があります。
介護でのレクは、ご利用者のQOL(生活の質)の向上を目的とした、介護サービスの一つです。
老人ホームやグループホーム、デイサービスなどの介護施設では、レク業務を介護士が担当します。
介護施設で行うレクの目的
介護施設での介護士は身体介護として、食事介助や入浴、排泄介助などを業務として行います。
また、生活援助として、掃除や洗濯・炊事なども行い、ご利用者の生活全般をサポートしていきます。
こういった生活のサポートだけではなく、ご利用者の身体機能や認知機能の低下を防ぐことも介護士の大事な役割です。
レクは、身体機能の維持・向上と脳の活性化やコミュニケーションの促進などを目的としています。
身体機能と認知機能
身体機能とは、身体を動かして動作を行うことで、歩く・掴むなどの生活上で行っている全ての動作を表します。
認知機能とは、理解や判断といった知的機能のこと指します。
高齢になるにつれて、この身体機能や認知機能が低下していき、更に使わないと衰退する一方なのです。
レクのメリットや効果
また、ご利用者にとっても以下のようなメリットがあります。
- 他者とのコミュニケーションツールである
- 一人だとなかなか身体や頭を使わない
- 次もしたいという意欲を持てる
ご利用者目線で考えることがとても重要であり、このような思いに応えることがサービス業である介護士の職務でしょう。
しかし、冒頭にも触れましたように、レク業務が苦手な介護士は本当に多く居ます。
なぜレクが苦手になるのでしょうか?
レクが苦手な理由と解消法を解説
- 企画や準備が大変でマンネリ化する
- 参加者が少ない
- 人前に出ることが苦手で緊張してしまう
レクについて、よく聞く答えで多かったこの3点を理由として挙げました。
これからその理由について具体的に探っていきます。
企画や準備が大変でマンネリ化する
レク業務を日々、行っている介護施設などでは、どうしてもマンネリ化する傾向があります。
レクを行うためにはネタが必要ですが、このネタ探しや準備などが負担となり、どうしても同じレクを繰り返し行ってしまうものです。
解消法としては、
- 日頃からレクで使えそうな、雑学系のテレビ番組などのネタをストックしておく
- ネット記事や動画を見て参考にする
- 企画は他の職員やネットなどからアドバイスをもらう
- 準備は他の職員の協力を得る
こういったネットの情報や、雑学系のテレビ番組などを参考にし、レクのアイデアをストックしておくことでマンネリを防ぐことができます。
参加者が少ない
次の理由として、レクにお誘いしても断られるので、参加される方が少なくて困ったことがありませんか?
レクは基本的に強制参加では無いので、参加の意思はご利用者の判断となります。
では、どうしたらご利用者は参加してくれるようになるのでしょうか。
解消法は、
- どんな内容なら参加したいかヒアリングを取る
- ご利用者の趣向や興味にあったレクを考える
- 時には、ご利用者と一緒にレク内容を考える
参加を断られるご利用者には何かしらの理由があるのですが、その理由を掴まないと参加には結びつかないものと思います。
多くの方に参加してもらえるかは、準備の段階から意識していかなくてはなりません。
レクに参加して良かったと思ってもらえれば、次第に参加者も増えていきます。
人前に出ることが苦手で緊張する
介護施設で行うレクは集団の場合、ご利用者達の前に立って進行を行っていきます。
場数を踏んで慣れている人は別として、一斉に目を向けられることで緊張してしまうのは皆んな同じではないでしょうか。
また、進行などにマニュアルがある所は少ないと思いますので常に臨機応変に対応できる能力が必要となってきます。
解消法は、
- 進行が上手な他の職員の真似をしてみる
- 家族や友人の前でまず練習をしてみる
- 一緒に盛り上げてくれるご利用者を掴む
この中でも、特におすすめは、進行が上手な人の真似をしてみることでしょう。
進行は場の雰囲気や参加者によって多少の工夫が必要となりますので、進行慣れしている人の話し方などを参考にしましょう。
人前だから上手く話さないといけないということではありませんので緊張し過ぎずに肩の力を抜いても大丈夫です。
介護レクのおすすめ種類
介護レクには以下の2つの種類に分けることができます。
- 身体を動かすレクリエーション
- 脳を活性化させるレクリエーション
ここから種類毎におすすめのレクを紹介していきます。
身体活動を目的にしたレクリエーション
まず、身体活動を行うことを目的したレクリエーションを紹介します。
高齢者は加齢に伴い、身体を動かす機会がだんだんと少なくなっていく傾向にあります。
盛り上がるレクのおすすめは、
- 新聞紙の玉入れ
- バランスボールでキャッチボール
- ペットボトルでボーリング
- うちわバレー
これらのレクを行う際の注意点は、他の職員と協力して必ずご利用者の見守りを行うことです。
新聞紙で玉入れ
- 新聞紙半紙をクシャクシャにして丸めた玉を使用する
- 玉入れ籠は、床から50cm程度になるよう、傘を開いたまま逆さにする
- 制限時間を設けて、2グループなどに分かれて数を競い合う
傘の大きさにもよりますが、比較的簡単に玉入れができます。
籠の高さは、挙げすぎないようにした方が車椅子の方や、身体に不自由がある方も参加しやすくなります。
バランスボールでキャッチボール
バランスボールは一般的な55mなどのサイズを使用してください。
これはキャッチボールと言っても、転がして、相手に渡すことになります。
- ご利用者同士が向かい合って輪になるように椅子に座る
- ボールを転がす人は、転がす相手の名前を呼んでから転がす
- 受け取った人は、また次の人に、と繰り返していく
バランスボールを転がす動作には椅子に座っていても、意外と全身を使った動きになります。
また、転がす際に相手の名前を呼ぶことで、発声があることで盛り上がったり、コミュニケーションの足掛けともなるでしょう。
車椅子や、身体が不自由な方には職員が一緒についてサポートするようにしてください。
ペットボトルでボーリング
- ボーリングの玉の代わりは30cmサイズ程のバランスボールを使用する
- ピンは2ℓのペットボトルに4分の1ほどの水を入れたものを使用する
- 基準線となる、投げる位置を決めて1人ずつ行う
このレクの特徴は、身体全体若しくは上体をいっぱい使ってボールを転がすところです。
バランスボールは軽く、水が入ったピンは重いといったことから、なかなか倒れにくくなってます。
ある程度の力が要りますので、身体全体を使った運動になるのです。
また車椅子などに座った体勢からでも行えますので、ボールなどは、ご利用者に合わせたものに随時変更してください。
うちわバレー
うちわを使って風船を床に落とさないように、協力し合うレクです。
- ご利用者は向かい合って輪になるように椅子に座る
- 1人ずつ、うちわを持って風船を下に落とさないように打つ
- 職員もご利用者も全員で数を数えながら行う
始める前に目標の数を決めて、協力して目標を達成するといった一体感を深めていけば盛り上がることでしょう。
注意点は熱が入ってくると、ご利用者は皆、風船が跳ねている上方向ばかりを見ています。
職員は風船ばかりに気を取られないよう見守りを行いましょう。
脳を活性化させるレク
脳を活性化させることは、認知機能低下予防に効果的でありますので、レクの中で目いっぱいに脳を使っていただきましょう。
- クイズ・なぞなぞ
- 連想ゲーム
- しりとり
この3点は、いずれも脳を使って答えを導き出すものであり、個人差によっては難易度を変えていく必要があります。
また、このようなレクは集団で行うと、発言するご利用者に偏りが出る傾向があります。
出来れば少人数で、いくつかのグループに分かれて行う方が望ましいでしょう。
クイズ・なぞなぞ
クイズやなぞなぞは比較的、介護士が好むレクとなりますが、ご利用者からすると在り来たりなレクであり人気は低いのです。
ただし、クイズなどの問題に趣向を追加していければ、人気の時間に変わることがあるかもしれませんね。
高齢者に有効な脳を活性化させるクイズやなぞなぞは「回想法」を取り入れたものが効果的であり、且つ、趣向も含むことのなるのです。
回想法は昔の記憶を呼び戻すことであり、脳を使って、回答する時に自身の昔話を話すことになります。
一つだけ例を出すと、「子供のころ、好きだったヒーローは?なぜ好きになった?」という問いを出します。
浮かんだ回答を答えてもらい、なぜ好きになったのかも話し始めると、どんどん昔の映像が脳の中に蘇ってくるのです。
また、こういった問題に不正解はありませんので、堂々と答えることができる点も良いのです。
連想ゲーム
連想ゲームに関しても、ただの一般的なゲームでは盛り上がりに欠けます。
こちらもお題に「回想法」を取り入れた趣向にしていきましょう。
お題の例は「子供のころに好きだったお菓子は?」などが良いのです。
こういったお題の答えを出していくうちに、ご利用者同士で共感し合えるようになってくるのです。
またメリットとしては、年齢が若い介護士でも、昔の流行った歌や歌手、お菓子などがこの連想ゲームから知ることができます。
しりとり
ただのしりとりではなく、条件付きのしりとりを行っていただきます。
例を出すと、「5文字の言葉」や「丸い物」といった条件をこちらから出させていただくのです。
このような条件で行うメリットとしては簡単なしりとりでも脳トレのような感覚で行うことができ、飽きない傾向にあります。
また、進行役の相槌や合いの手で盛り上がり方は大きく左右されるでしょう。
注意点は、間違った答えを出した方が居ても、必ず否定などはしないでくださいね。
レクリエーションを学べる資格がある!?
苦手意識を克服するためにも、レク業務を一から学べるレクリエーション介護士という民間の資格を紹介します。
介護士として働く多くの人は介護レクを学んだことがない、若しくは養成施設の講義で少し経験したくらいでしょう。
このレクリエーション介護士講座は、高齢者との円滑なコミュニケーション方法、レクの企画・実行などについて専門的に学べます。
レクリエーション介護士2級
年齢や経験などは不問であり、日本アクティブコミュニティ協会が認定する講座を受講し、試験に合格することで資格が取得できます。
この2級講座で身につく能力は、
- 高齢者とのコミュニケーション力
- 趣味・特技を活かして、高齢者の喜ぶレクが作れる力
- 自分のアイデアを企画書にして、レクリエーションが実行できる力
このような能力が身につくと、苦手意識もなくなりそうな気がしてきますね。
レクリエーション介護士1級
レクリエーション介護士2級を取得している人で、1級講座と試験合格、さらに現場実習を修了して資格を取得できます。
1級講座で身につく能力は、
- 介護レクの意義や役割を理解し、人に伝えることができる
- 参加者の状態別に合わせて、レクリエーションをアレンジできる
- 目的に合わせたレクリエーションをプログラム、計画できる
この学びによって、あなたの悩みを解決する道標になるかもしれませんので、資格の取得を検討してみることもおすすめです。
まとめ
レク業務を苦手だと思うことは、上手くいかなかった経験や企画準備の大変さが招いているのではないでしょうか。
このレクリエーション業務は、ご利用者と一緒に楽しめるメリットがあります。
日頃から大変な業務に追われていても、レク業務を存分に楽しみ、少しでもリフレッシュできると良いですよね。
おすすめのレクでも伝えましたが、レクを行う際は、ご利用者の安全を第一にお願いします。
介護士として頑張っているあなたはには、苦手意識を持たずに、何事にもチャレンジしてくれたら嬉しいです。
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