インスリン注射は、「医行為(医療行為)」に該当し介護士がやってしまうと犯罪です。
しかし、インスリン注射をやっては行けないことはわかっていても、実際にインスリン注射の介助が必要な利用者が目の前にいたらどうすれば良いか迷ってしまいますよね。
そこで、この記事を読むことにより正しいインスリンに関する知識を身に付け、適切な対応が取れるようになると思います。
介護士ができない医行為(医療行為)って何?
介護士は「医行為」(医療行為)ができません。
ではどのようなものが医行為になるのでしょうか。
医行為とは医師の専門的な判断や技術を持って行わなければ、人の体を傷つけてしまう恐れある行為のことです。
参考資料:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の 解釈について(通知)
介護士は、医療の知識を持っているわけではないので、医行為をすることはできません。
介護士が医行為を行ってしまったときの罰則
医行為だと知らずに行ったとしても、発覚すれば「3年以下の懲役、100万円以下の罰金、又はこれらの併科」という罰則を受けることになります。
上司からの指示だとしても、実際に医行為を行っていた介護士も書類送検されることになります。
そうならないために、インスリン注射に関して正しい知識を学びましょう。
インスリン注射とは
インスリン注射は、糖尿病によりインスリンの分泌が不足してしまう患者に対してインスリン(血糖値を下げる作用があるホルモン)の分泌を促す作用があります。
人間の体は、ご飯やパンなどの炭水化物を摂取すると血糖値が上がり、通常だと体がそれに反応して、インスリンを分泌して血糖値を下げる働きをします。
しかし、糖尿病の場合、インスリンの分泌が不足してしまい、上がった血糖値を下げることができません。
血糖値が高いままだと、倦怠感や口の渇き、多尿などの症状がみられ、さらに悪化すると網膜症、腎症、神経障害などの合併症を併発することがあります。
合併症を併発すると網膜症により、目が見えなくなったり、神経障害から足を切断する方もいます。
そうならないために、インスリン注射を行い、血糖値を下げる必要があるのです。
インスリン注射は、ボールペンタイプの専用の容器に薬剤が入っていて、細い注射針がついています。
それをお腹、太もも、腕などに刺し、薬液を体内に注入します。
インスリン注射の危険性
インスリン注射は、管理を間違えると血糖値が下がりすぎて低血糖症状を起こす場合があります。
低血糖症状とは、冷や汗、動悸、眠気、めまい、頭痛などです。
低血糖症状が重度になると意識不明に陥ったり、最悪の場合、死に至るケースもあります。
それだけ専門的な管理が必要ということです。
そのため、医師の専門的知識が必要であり、介護士にはできないことになっています。
インスリン注射はできないがサポートはできる!
インスリン注射に関して、介護士が全く関与できないわけではありません。
インスリン注射のサポートをすることは許可されているのです。
サポートとはどのようなことか詳しく見ていきましょう。
- 利用者がインスリン注射を忘れずにできるように声かけする。
- 介護士が血糖値測定をする際、測定器に試験紙をセットする、または見守りや声かけ。
- 利用者が血糖測定器の針を指に刺し、介護士が血糖測定器の先端に血液をつける。
- 利用者が注射器のメモリを医師から指定された数値に合わせ、それを介護士が間違っていないか確認する。
- 介護士が利用者に注射をする場所を伝え、間違いなくできているか見守りをする。
- 注射後の片付け、血糖値の記録を手伝う。
参考資料:厚生労働省「グレーゾーン解消制度」確認の求めに対する回答の内容の公表
このようにインスリン注射・血糖測定に関する準備、声かけ、見守りは介護士でもできるのです。
インスリン注射が必要な利用者への対応
介護施設ではインスリン注射の介助を必要とする方の利用相談を受けることもあります。
そのような場合、まずインスリン注射を利用者自身でどこまでできるか確認しましょう。
- 血糖測定器に試験紙や注射器の針のセットはできるのか?
- 注射器のメモリを指定された数値に合わせることはできるのか?
- 注射器を腹部や腕などに刺すことはできるのか?
利用者自身でできない部分を介護士がサポートすることで補えるのであれば、特に問題ありませんが、介護士がサポートできる範囲を超えている場合は、施設内で検討が必要です。
具体的には、看護師の勤務している時間帯にインスリン注射ができないか、又はその時間帯にインスリン注射を調整できないかなど検討し、必要に応じて施設の嘱託医にも相談してみましょう。
それでも対応が難しい場合は、受け入れ体制が整った施設や病院で対応してもらうようにしましょう。
サービス利用の依頼を断ることは、目の前の利用者を見放すことのように思われるかもしれません。
しかし、専門的な知識や技術を持たない介護士が医行為を行い事故を起こしてしまう方が、利用者を命の危険にさらす危険性があり、自分も刑罰を受けることになってしまいます。
インスリン注射の介助が必要な利用者いる場合は、利用者自身がどこまでできるかを確認し、勤務先の施設で対応が可能なのか、正しい知識をもとに対応を検討をしましょう。
もし職場からインスリン注射を求められたら
万が一、施設の都合や上司の命令で、介護士にインスリン注射を強要されるようなことがあれば、一刻も早く転職を考えた方が良いかもしれません。
職場を変えることは勇気が必要なことですが、そのまま続ければ犯罪を犯してしまうことになります。
介護士ができる医療的ケアとは
インスリン注射に関してはサポートするにとどまりますが、介護士でも一部の医行為と医療的ケアができます。
高齢社会により医療費が増大し、病院から早期退院するケースが増え、その受け皿として介護施設にも医療的ケアを必要とする利用者が増えてきているためです。
医療的ケアが必要な利用者でも、目の前で助けを求めていたら手を差し伸べずにはいられませんよね。
そんな時に、正しい知識を持って判断し、自分ができる最善の事をできるように、介護士ができる医行為と医療的ケアを確認しておきましょう。
研修を受けた介護士が行える医行為
平成24年の「社会福祉士及び介護福祉士法」の改正により、介護士も一部の医行為を行うことができるようになりました。
その一部とは、喀痰吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)です。
この2つを行うためには、厚生労働省の喀痰吸引等研修(基礎研修+実地研修)を受講し、都道府県に修了者として登録する必要があります。
医行為ではない介護士もできる医療的ケア
医療的ケアの中でも利用者への危害を及ぼす危険性が低い医療的ケアとして下記のことが許可されています。
医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とならない行為(医行為とみなられない行為) |
|
容態が安定していて、服薬において医師や看護師の経過観察の必要性、専門的知識の必要性がない行為 |
|
参考資料:医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の 解釈について(通知)
大切なことは、介護士ができる医療的ケアの範囲を知り、できない部分は、医師や看護師と連携を図り、利用者にとって最善のケアができるようにすることです。
しかし、注意しなければいけないこととして介護士に認められている医療的ケアでも利用者の容態が不安定な場合、専門的な管理が必要と判断され、医療行為とみなされる場合もあります。
その際は、事前に勤務先の嘱託医や看護師に医行為に該当するか確認するようにしましょう。
まとめ
これまでに下記のことについてお伝えしてきました。
- 介護士ができない医行為(医療行為)って何?
- インスリン注射とは
- インスリン注射はできないがサポートはできる!
- 介護士ができる医療的ケアとは
インスリン注射は、医師の専門的な判断が必要な行為であり、医行為に該当します。
もし介護士がうっかりやってしまうと、罰金や懲役刑を受けることもあります。
また、最悪の場合、利用者の命を危険にさらす可能性もあります。
こんなことにならないためにも正しいインスリンに関する知識を学び、適切な対応を取れるようにしましょう。
介護の仕事を探すなら、まずは専門の求人サイトに登録しよう
介護の仕事探しは、専門的に扱っている求人サイトがたくさんあります。
ただたくさんありすぎて、どれに登録すればいいのか迷っていませんか?
1つに絞らないといけないなんてルールはありません。
複数のサイトに登録しておくと、それだけ探せる幅が広がるので理想の就職・転職先も見つけやすくなりますよ!
気に入った仕事があれば、その仕事を紹介してくれるサイトから応募すればいいのです。
それぞれのサイトで特徴があるので、とりあえず登録してみて、自分の希望の求人が見つかったサイトか、実際に自分で使ってみて使いやすいサイトをメインに利用したらいいですよ。
たくさんある中でも特徴的なサイトを4つ紹介します。
いずれも登録もサポートも無料です。
介護ワーカー |
---|
全国の8万件以上の求人を紹介する介護ワーカー。 介護職専門アドバイザーがサポートしてくれるので初めての転職でも安心ですね。 年間転職成功者数1万人を達成しています。全国12拠点の営業所を置き、地域密着の就職・転職ネットワークで職場の様子まで伝えてくれます。 サイトに公開されない非公開求人も15000件以上あり、登録して探してみると、理想的な求人も見つけやすいと思います。 もちろん、登録もサポートも費用はかかりませんし、非公開求人を探すためにも登録した方が良いでしょう。
|
かいご畑 |
---|
かいご畑の特徴は、なんといっても介護の仕事をしようとしているまだ無資格の人への手厚さでしょう。 かいご畑に掲載されている派遣求人で就業が決定した場合、介護の資格講座の受講料が0円になる『キャリアアップ応援制度』が利用できます。 介護教室も運営しているかいご畑ならではの強みです。働きながら資格取得を目指せるので、取得を待つことなく即現場で実践を積むことができます。 登録やサポートで求職者に費用はかかりません。 これから介護の仕事をしていきたいと思うなら、外せないサイトです。
|
きらケア求人 |
---|
職場の条件だけでなく、表面に現れにくい「雰囲気」があなたにマッチするかも大事にするきらケア。 気になる職場の雰囲気を専門のアドバイザーが伝えてくれます。 理想の職場を見つけるために、離職率や人間関係など求人に関わるネガティブな情報までも伝える徹底ぶり。 まだ転職をしようか悩んでいる段階でも相談に乗ってもらえたり、事前の面接対策や、面接に同行してのフォローも行っており、不安になりやすい転職活動を徹底サポート。 もちろん、登録もサポートも無料。 転職したいけどなかなか踏み切れなかったり、転職活動の不安を拭い去れないなら、登録してしっかりサポート受けましょう。
|
ココカイゴ転職 |
---|
ココカイゴの特徴は、名前の通り(?)独自の事業所インタビューで「ココ」だけの情報を掲載していることです。 職場の雰囲気や残業、年収など自分では聞きにくい部分をあなたに代わって聞いてくれているわけですね。 また、仕事探しをサポートしてくれるキャリアパートナーは全員が介護資格をもっており、求職者の立場に立って仕事の悩みや転職の疑問に応じてくれます。 もちろん、登録もサポートも無料です。 できうる限り仕事先について知った上で吟味したいという慎重派なら、登録しないのはもったいないです。
|