「介護士って医療従事者になるの?」
これから介護士を目指すあなたは上記の疑問を抱いたことはないでしょうか?
今回は、これから介護士を目指すあなたに向けて、「介護士は医療従事者にあたるのか?」を詳しく解説していきます。
記事内で、介護士が行える医療行為も紹介していきます。
禁止されている医療行為を行った場合、罰則の対象になるケースもあるので、この記事を読んで知識を深めておきましょう。
医療従事者の定義とは
厚生労働省は「医療従事者」を、「厚生労働省が限定している有資格者」としています。
しかし、一般的には、医療を行う職種を広い意味で「医療従事者」と呼んでおり、その認識はあいまいです。
「医療従事者」のイメージがない介護士ですが、近年では研修を受けた一部の介護士が医療行為を行うようになっています。
しかし、あくまでも一部の介護士であり、「介護士は医療従事者か?」という問いに正解はありません。
まずは、医療従事者にあたる職種と、その定義を確認していきましょう。
- 医療従事者にあたる職業
- 国の定義による医療従事者
医療従事者にあたる職種
厚生労働省によると、以下の職種を「医療従事者」としています。
医師・助産師・看護師・救急救命士・薬剤師・保健師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・診療放射線技師・臨床工学技士
医師や看護師などは「医療職」としてのイメージが強いですよね。
実際に、上記の職種は病院をはじめとした、医療機関で働いており「医療行為」を行っています。
国による医療従事者の定義づけは?
国の「医療従事者の定義」についてですが、近年流行している感染症予防のために行われている
ワクチン接種の「優先順位」を例にしてみると、実はあいまいなことが分かります。
ワクチン接種の優先順位は以下です。
- 医療従事者等
- 高齢者(2021年度中に65歳以上になる人)
- 基礎疾患を有する人・高齢者施設等で働く職員
- 1~3以外の人
今回のワクチン接種を行うのを理由に、国が再度「医療従事者」を定義づけています。
なお、ある程度の幅を持たせるため、医療従事者「等」としていますよ。
ここで言う「医療従事者等」にあてはまるのは、以下の業務をする人です。
- 病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事する職員
- 保健所など新型コロナ感染症対策業務に従事する職員
- 新型コロナ患者を搬送する救急隊員、海上保安庁職員、自衛隊職員など
この「医療従事者等」の中には、介護士も含まれます。
具体的に、厚生労働省の発表では
「介護医療院、介護老人保健施設の従事者についても、医療機関と同一敷地内にある場合には、医療機関と判断できる」としています。
一部の施設の介護士のみ、「医療従事者等」として扱われているというのが現状です。
介護士が行う医療行為と今後の方向性について
ここまでみていくと、介護士は医療従事者と認識されてもおかしくないということが分かりますよね。
しかし、医療従事者と言っても介護士には行える医療行為とそうでないものがあるのはご存じでしょうか?
介護士が行っている業務を「医療行為」という観点から3つに分けてみました。
- 介護士が行う「医療行為ではない」処置
- 介護士が行える医療行為
- 介護士が行えない医療行為
介護士が行える「医療行為ではない」処置
下記は介護現場で医療行為と思われがちですが、原則として「医療行為にはあたらない行為」です。
- 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測する
- 自動血圧計による血圧を測定する
- パルスオキシメータで、SPO2を測定する
- 切り傷、擦り傷、やけど等の処置(専門的な技術を必要としない)
- 爪きり(糖尿病等の専門的な管理が必要でない場合)
- 口腔ケア
- 耳そうじ
- ストマ排泄物を捨てること
- 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと
- 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器による浣腸
- 皮膚への軟膏の塗布(床ずれの処置を除く)
- 皮膚への湿布の貼付
- 点眼薬の点眼
- 一包化された内用薬の内服
- 肛門からの坐薬挿入
参考:厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」
これらは医療行為には当たらないため、一般の介護士が普段から行っている業務になりますよ。
介護士が行える医療行為
平成24年4月より「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部が改正されました。
これにより、介護士も一定の条件で、下記のふたつの「医療行為」が行えるようになりました。
- 喀痰(かくたん)吸引
- 経管栄養法
喀痰吸引とは、痰が出せない利用者へ吸引器を用いて痰を吸引する行為です。
経管栄養法は、口から食事がとれない利用者へ、「胃ろう」から栄養剤を注入する行為です。
「医療行為を行う」という意味では、介護士も医療従事者であると言えますよね。
なお、このふたつを行うには「実務者研修」「実地研修」を行う必要があります。
詳細は下記の記事をご覧ください。
施設介護士が経管栄養を行うことは違法?正当に処置をするには?
介護士が行えない医療行為
介護士が行えない医療行為についても合わせてみていきましょう。
下記は介護現場でよくみられる医療行為の中で、基本的に介護士が行えないものになります。
- インスリン注射
- 血糖測定
- 摘便(てきべん)
- 褥瘡処置(じょくそうしょち)
これらは、医師や看護師などの一部の資格を保有している職種しか行えません。
なお、介護士が行った場合は「社会福祉士及び介護福祉士法」により罰則もあります。
これから介護士を目指すなら注意しましょう。
今後、介護士になった際に「これって医療行為にはならないのか?」と疑問に感じたら、上司や先輩に相談してみましょう。
介護士が「医療従事者」になっていく可能性
今後について、介護士の認識が一般的に「医療従事者」になっていく可能性は十分あります。
医療ニーズの拡大により、平成24年の法改正で一部の介護士が「医療行為」を行えるようになりました。
日本の高齢化率は上昇傾向で、2025年には、いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上になります。
参考:厚生労働省「国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現」
また、厚生労働省によると2025年までに必要とされる看護職員は200万人と言われています。
参考:厚生労働省「第2回 職員需要供給見通しに関する検討会」
このような看護師不足や、高齢者の増大から、介護士が行う医療行為の範囲が広がっていく可能性はあります。
定義はどうあれ、「医療行為=医療従事者」と考えるなら、介護士の認識が「医療従事者」となる日は近いかもしれません。
まとめ
今回は下記を解説しました。
- 医療従事者とは
- 介護士が行えない医療行為
- 介護士が行える医療行為
医療従事者の定義はあいまいで正解はありません。
しかし、今後は介護士が医療従事者として一般的に認識されて行く可能性はありますよ。
これから、介護士を目指すならそういった医療知識も求められるでしょう。
また、「褥瘡の処置」「インスリン注射」など、知らずに医療行為を行った場合は罰則もあります。
事前にしっかり勉強しておきましょうね。
介護の仕事を探すなら、まずは専門の求人サイトに登録しよう
介護の仕事探しは、専門的に扱っている求人サイトがたくさんあります。
ただたくさんありすぎて、どれに登録すればいいのか迷っていませんか?
1つに絞らないといけないなんてルールはありません。
複数のサイトに登録しておくと、それだけ探せる幅が広がるので理想の就職・転職先も見つけやすくなりますよ!
気に入った仕事があれば、その仕事を紹介してくれるサイトから応募すればいいのです。
それぞれのサイトで特徴があるので、とりあえず登録してみて、自分の希望の求人が見つかったサイトか、実際に自分で使ってみて使いやすいサイトをメインに利用したらいいですよ。
たくさんある中でも特徴的なサイトを4つ紹介します。
いずれも登録もサポートも無料です。
介護ワーカー |
---|
全国の8万件以上の求人を紹介する介護ワーカー。 介護職専門アドバイザーがサポートしてくれるので初めての転職でも安心ですね。 年間転職成功者数1万人を達成しています。全国12拠点の営業所を置き、地域密着の就職・転職ネットワークで職場の様子まで伝えてくれます。 サイトに公開されない非公開求人も15000件以上あり、登録して探してみると、理想的な求人も見つけやすいと思います。 もちろん、登録もサポートも費用はかかりませんし、非公開求人を探すためにも登録した方が良いでしょう。
|
かいご畑 |
---|
かいご畑の特徴は、なんといっても介護の仕事をしようとしているまだ無資格の人への手厚さでしょう。 かいご畑に掲載されている派遣求人で就業が決定した場合、介護の資格講座の受講料が0円になる『キャリアアップ応援制度』が利用できます。 介護教室も運営しているかいご畑ならではの強みです。働きながら資格取得を目指せるので、取得を待つことなく即現場で実践を積むことができます。 登録やサポートで求職者に費用はかかりません。 これから介護の仕事をしていきたいと思うなら、外せないサイトです。
|
きらケア求人 |
---|
職場の条件だけでなく、表面に現れにくい「雰囲気」があなたにマッチするかも大事にするきらケア。 気になる職場の雰囲気を専門のアドバイザーが伝えてくれます。 理想の職場を見つけるために、離職率や人間関係など求人に関わるネガティブな情報までも伝える徹底ぶり。 まだ転職をしようか悩んでいる段階でも相談に乗ってもらえたり、事前の面接対策や、面接に同行してのフォローも行っており、不安になりやすい転職活動を徹底サポート。 もちろん、登録もサポートも無料。 転職したいけどなかなか踏み切れなかったり、転職活動の不安を拭い去れないなら、登録してしっかりサポート受けましょう。
|
ココカイゴ転職 |
---|
ココカイゴの特徴は、名前の通り(?)独自の事業所インタビューで「ココ」だけの情報を掲載していることです。 職場の雰囲気や残業、年収など自分では聞きにくい部分をあなたに代わって聞いてくれているわけですね。 また、仕事探しをサポートしてくれるキャリアパートナーは全員が介護資格をもっており、求職者の立場に立って仕事の悩みや転職の疑問に応じてくれます。 もちろん、登録もサポートも無料です。 できうる限り仕事先について知った上で吟味したいという慎重派なら、登録しないのはもったいないです。
|