介護士の夜勤をしていて「きつい」と感じることってよくありますよね。
少ない人数の中で、たくさんの利用者の排泄介助や認知症の方の対応などがあります。
場合によっては急変や転倒・転落などの緊急対応も行うこともあり、とても忙しく、身体的にも精神的にも大変です。
この記事では、夜勤が「きつい」と感じる理由とその対処方法について実際の経験談も交えながら詳しく説明していきます。
この記事を読み終わる頃には、きつくて不安な気持ちでいっぱいだった人も「もう少し頑張ってみよう!!」という前向きな気持ちになって頂けるのではないかと思います。
夜勤が「きつい」と言われる2つの理由
夜勤がきついと言われるには「身体的負担」と「精神的負担」の2つがあります。詳しく見て行きましょう。
身体的な負担
まず、夜勤における身体的な負担としては、下記のことがあります。
- 眠気との戦い
- 深夜の重労働(深夜のオムツ交換や朝方の起床介助など)
眠気との戦い
「夜勤できついこと」と聞くと、「眠気」と答える方も多いのではないかと思います。
なぜ、人は夜眠くなるのでしょう?
それは体内のホルモン分泌が影響しています。
日中は、活動性を高めるためのホルモン(セロトニン)が多く分泌されます。
夜間は、睡眠を促すホルモン(メラトニン)が多く分泌されるようになっています。
その為、人は、夜眠くなるようになっているのです。
対策:しっかり仮眠を取る
夜勤中、仮眠を取ることにより、身体も脳もリセットされます。
日本看護協会の「夜勤中の仮眠を取りましょう〜夜勤とうまくつきあうために」によると、
「夜勤中に取る1時間の仮眠の効果は、夜勤前に取る3時間の仮眠効果に匹敵する」と言われています。
また、夜勤明けに必要とされる疲労回復のための仮眠時間も短縮されます。
一番眠くなる明け方の業務を効率的にこなすためにも、仮眠はとても重要になってきます。
休憩中は、携帯電話をいじりたくなる気持ちはわかりますが、休める時間がある時は、積極的に仮眠を取るようにしましょう。
深夜の重労働(深夜のオムツ交換や朝方の起床介助など)
夜間の排泄介助や朝方の起床介助は、重労働と言っても過言ではありません。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設ではその割合は多くなってきます。
また、夜間はスタッフの人数も少なく、一人でたくさんの利用者の排泄介助や移乗介助などをすることがあり、腰への負担も大きくなります。
日勤の仕事では、腰の負担を感じなくても、夜勤では腰の負担を感じことが多々あります。
腰痛持ちの場合は、とても辛いですよね。
対策①:適切な介護技術を習得する
正しい介助方法を習得することにより、疲労や腰への負担が軽減されます。
腰痛が心配な場合は、介助方法を見直してみると良いと思います。
介助方法について学ぶ場合は、書籍で勉強することもちろんですが、YouTubeでの動画学習もおすすめです。
また、勤務先に理学療法士の方がいれば、オムツ交換や移乗介助の方法を教えてもらうと良いでしょう。
身体の構造や動きを熟知した専門家なので、きっと役立つアドバイスをもらえるでしょう。
このサイトの記事でもお伝えしているものがありますよ。
介護士の職業病とも言える腰痛!原因と対策のポイント!労災の適用も解説
対策②:普段から運動して体力をつけておく
普段から適度に運動をして、基礎体力をつけておくこともおすすめです。
基礎体力をつけておくと、身体の疲れ具合が軽く感じます。
私も運動を全くしていませんでしたが、普段からできるだけ歩く機会を増やしたら、仕事の疲れ具合が軽く感じるようになりました。
軽い運動でも大丈夫なので、定期的に体を動かす習慣をつけてましょう。
精神的な負担
精神的な負担として、下記のことがあります。
- 急変や事故に対する不安
- 深夜の利用者対応
急変や事故に対する不安
夜勤では利用者の急な病状変化や転倒・転落などの事故も起こります。
夜勤を始めたばかりの頃って、特に不安になりますよね。
- 部屋を巡回したら、意識がなかった
- 転倒して頭を打撲した
- ベッドから落ちて顔に擦過傷ができた
緊急性は状況により様々ですが、夜勤中は、このような急変や事故などが起こることもあります。
その為、状況に応じた適切な対応が求められるのです。
夜勤業務において、ここが一番の不安なことではないでしょうか?
「急変や事故が起きた時、ちゃんと対応できるかな」
この不安があるから、夜勤は常に気を張っていて、精神的な負担が大きいのです。
対策①:介護士の急変時の役割を理解する
介護士の急変時の対応で大切なことは、その病気や怪我を直すことではありません。
それは医師や看護師がすることです。
介護士の役割は、状態が悪化しないように必要な処置を行い、医療機関・医療専門職へつなぐことです。
このことを理解しておけば、緊急時の対応に対する不安が少し軽くなるのではないでしょうか?
施設の夜勤では、看護師へのオンコール体制が取られているところも多いです。
急変や事故が発生した時は、できるだけ迅速に、かつ正確に看護師へ報告・相談することが介護士として求められることを理解しておきましょう。
看護師へ連絡することを迷うときもあると思います。
その時は、自分だけで決めるのではなく、一緒に夜勤をやっているスタッフに相談しても良いと思います。
または、想定される事故や急変時において、「どのような状況だったら、看護師へ連絡するのか」事前に看護師に確認しておくこともおすすめです。
対策②:利用者の既往歴や服薬状況をすぐ確認できるようにしておく
急変時の対応において、利用者の既往歴や服薬状況がすぐ確認できようにしておくことが大切です。
医療職種側も緊急時対応の判断をする際に、その人の既往歴を含めて対応を検討します。
それらについて確認された時にすぐ答えられるように、利用者が、どのような病歴があって、どのような薬を飲んでいるのか普段からすぐ確認できるように準備しておきましょう。
対策③:緊急時の対応を確認しておく
施設の緊急時の連絡・報告ルートの確認しておくことが大切です。
どこの施設にも緊急時の連絡ルートのマニュアルはあると思います。
緊急対応が必要になった時にどこにまず連絡をする必要があるのか確認しておくことにより、緊急時に慌てずに連絡することができます。
具体的には、「急変や事故が起きたら、看護師携帯:090-XXXX-XXXXへ連絡する」と連絡する人と連絡先は、夜勤前に必ず確認しておきましょう。
対策④:適切な報告ができるように準備しておく
報告を受けた人がその場の状況をイメージできるように伝えることが一番大切です。
そのために大切なこととして、
- 最初に何が起きたのかを伝える
- 次に具体的な状況を伝える
- 具体的な数値で伝える
緊急時でも慌てずに、正確に報告するために、報告する項目をテンプレート化しておくことをおすすめします。
【①いつ】
0時の巡回時に
【②どこで】
ベッド脇の床で
【③誰が】
利用者A様が
【④どのような状況】
うつ伏せで倒れていた。
【⑤外傷、症状】
左側頭部から出血あり、3㎝程度の裂傷。
その他、外傷なし。
声かけに反応あり。
頭部のみ痛みの訴えあり。
【⑤バイタル】
血圧130/70 脈拍60 体温36.8℃
【⑥どのような対応をしたか】
出血部位を圧迫止血して、現在は出血が止まっている。
声かけに対しても反応あり。
このように報告をする際に、報告する項目を決めておくと緊急時でも正確に伝えることができますね。
普段から緊急時の報告する項目を書いた紙を数枚用意しておくと、いざという時にすぐ報告内容をまとめることができます。
深夜の利用者対応
利用者の中には、昼夜逆転で夜になると活動的になる方もいます。
特に認知症を患っている利用者だと、スタッフの対応も一筋縄では行きません。
昼夜逆転している利用者に「夜中だからゆっくり休んでくださいね」なんて一言で解決することって少ないですよね。
夜間の眠い時間帯でも、利用者の立場に立って、安心して眠れるような対応や声かけをしていかなければいけないので、精神的に負担が大きいと言えます。
対策:認知症の対応について学ぶ
認知症の対応について理解を深めることにより、気持ちに余裕が持てるようになります。
それは、利用者へ対応するときの視点が変わるからです。
例えば、昼夜逆転して夜間徘徊してしまう利用者がいた場合、
◯認知症に関する知識を学んでいない人
→何回も起きてきて、なんで歩き回っているの!? いい加減にして!(イライラ)
◯認知症に関する知識を学んでいる人
→眠れない原因はなんだろう? 徘徊しているのには何か理由があるのかな?
二つの違いとしては、前者が「自分の感情に視点」が向いてしまうことに対して、
後者は、「原因分析に視点」が向いています。
人は、怒ったり、イライラしたりすると疲れますよね。学びを深めることで、視点が変わり、精神的なストレスが軽減されます。
認知症の対応に悩む新人介護士は必見!3つのコツとNGな対応を解説
夜勤をするメリット
このように身体的にも精神的にもきつい夜勤ですが、メリットもあります。
それは以下のことです。
- 収入アップ
- 時間の有効活用ができる
- 介護士としてのスキルアップにつながる
- キャリアアップにも役立つ
詳しく見ていきましょう。
収入アップ
平均4,000〜6,000円くらいの夜勤手当が付きますので、その分収入が増えます。
「収入を上げたい」という方は、夜勤をやることで簡単に収入をあげることができます。
時間の有効活用ができる
夜勤は夜から朝にかけて仕事をするので、「夜勤前」と「夜勤明け」が有効活用できます。
日勤のみの仕事だと、例えば9時から18時までの仕事だとしても通勤時間などを考慮すると自由に使える時間が限られてしまいますよね。
特に銀行や役所など平日の日中しかやっていないところへの用事がある場合などは、休みの日を利用しないといけないことになります。
「夜勤前」や「夜勤明け」を有効活用できれば、そのような用事を済ますことができ、休日はリフレッシュや好きなことに時間を使うことができますよね。
介護士としてのスキルアップにつながる
介護の仕事は利用者の生活を支えることです。
ご利用者の生活は、私たちと同じ1日24時間あります。
日勤帯のみで関わっていると、そのご利用者の生活の一部分にしか関わることができず、1日を通して利用者の様子を把握することができません。
例えば、夜あまり眠れず、いつも日中活動性が低く、傾眠してしまっている利用者がいたとします。
日勤のみで関わっている介護士なら、活動性を向上させようとして声をかけたり、活動に参加させてあげたりするかもしれません。
しかし、夜勤をやって、実際に夜間の様子を知っている介護士だと対応が変わってくるかもしれません。
「いつも眠れていないから少し休む時間を作ってあげよう」
「夜少しでも眠れるように、少しづつ日中の活動性をあげて生活リズムを改善していこう」
ご利用者の立場に立って対応を考えることができると思います。
これは極端な例かもしれませんが、実際に夜勤をやって利用者の夜間の様子を知るのと、申し送りで夜間の様子を知るのとでは、雲泥の差があります。
夜勤をやることにより、ご利用者の生活を1日を通して把握することができ、介護士としてのケアの質の向上にもつなげることができます。
キャリアアップにも役に立つ
私は、現在ケアマネジャーとして、ご利用者やご家族の相談に乗らせていただいています。
その際、夜勤の経験があるからこそ、昼夜逆転の利用者を介護しているご家族の気持ちに共感することができます。
また、管理者として仕事をするようになれば、部下の相談にも乗ることになります。
その時に「夜勤がきつい」と相談された時にも話に共感してあげられ、適切なアドバイスをすることもできると思います。
介護の仕事でキャリアアップを考えていく場合、夜勤の経験はとても役立ってきます。
まとめ
夜勤がきつい理由として、下記の内容をお伝えしました。
- 眠気との戦い
- 深夜の重労働(深夜のオムツ交換や朝方の起床介助など)
- 急変や事故発生の対応
- 深夜の利用者対応
これらは、事前の準備や知識・技術を習得することで負担を軽くすることができます。
介護の夜勤は身体的にも精神的にもきついことがたくさんありますが、その代わりに収入やスキルアップ、時間の有効活用できるなどのメリットもあります。
今回紹介したことを試すことにより、少しでも心に余裕を持って夜勤ができるようになることを願っています。
介護の仕事を探すなら、まずは専門の求人サイトに登録しよう
介護の仕事探しは、専門的に扱っている求人サイトがたくさんあります。
ただたくさんありすぎて、どれに登録すればいいのか迷っていませんか?
1つに絞らないといけないなんてルールはありません。
複数のサイトに登録しておくと、それだけ探せる幅が広がるので理想の就職・転職先も見つけやすくなりますよ!
気に入った仕事があれば、その仕事を紹介してくれるサイトから応募すればいいのです。
それぞれのサイトで特徴があるので、とりあえず登録してみて、自分の希望の求人が見つかったサイトか、実際に自分で使ってみて使いやすいサイトをメインに利用したらいいですよ。
たくさんある中でも特徴的なサイトを4つ紹介します。
いずれも登録もサポートも無料です。
介護ワーカー |
---|
全国の8万件以上の求人を紹介する介護ワーカー。 介護職専門アドバイザーがサポートしてくれるので初めての転職でも安心ですね。 年間転職成功者数1万人を達成しています。全国12拠点の営業所を置き、地域密着の就職・転職ネットワークで職場の様子まで伝えてくれます。 サイトに公開されない非公開求人も15000件以上あり、登録して探してみると、理想的な求人も見つけやすいと思います。 もちろん、登録もサポートも費用はかかりませんし、非公開求人を探すためにも登録した方が良いでしょう。
|
かいご畑 |
---|
かいご畑の特徴は、なんといっても介護の仕事をしようとしているまだ無資格の人への手厚さでしょう。 かいご畑に掲載されている派遣求人で就業が決定した場合、介護の資格講座の受講料が0円になる『キャリアアップ応援制度』が利用できます。 介護教室も運営しているかいご畑ならではの強みです。働きながら資格取得を目指せるので、取得を待つことなく即現場で実践を積むことができます。 登録やサポートで求職者に費用はかかりません。 これから介護の仕事をしていきたいと思うなら、外せないサイトです。
|
きらケア求人 |
---|
職場の条件だけでなく、表面に現れにくい「雰囲気」があなたにマッチするかも大事にするきらケア。 気になる職場の雰囲気を専門のアドバイザーが伝えてくれます。 理想の職場を見つけるために、離職率や人間関係など求人に関わるネガティブな情報までも伝える徹底ぶり。 まだ転職をしようか悩んでいる段階でも相談に乗ってもらえたり、事前の面接対策や、面接に同行してのフォローも行っており、不安になりやすい転職活動を徹底サポート。 もちろん、登録もサポートも無料。 転職したいけどなかなか踏み切れなかったり、転職活動の不安を拭い去れないなら、登録してしっかりサポート受けましょう。
|
ココカイゴ転職 |
---|
ココカイゴの特徴は、名前の通り(?)独自の事業所インタビューで「ココ」だけの情報を掲載していることです。 職場の雰囲気や残業、年収など自分では聞きにくい部分をあなたに代わって聞いてくれているわけですね。 また、仕事探しをサポートしてくれるキャリアパートナーは全員が介護資格をもっており、求職者の立場に立って仕事の悩みや転職の疑問に応じてくれます。 もちろん、登録もサポートも無料です。 できうる限り仕事先について知った上で吟味したいという慎重派なら、登録しないのはもったいないです。
|