日々の介護業務の中で「行き過ぎた医療行為をしてしまっているのでは?」と不安になる事ありませんか?
私が特別養護老人ホームに働いていた時も、介護福祉士が医療行為を担う事も少なくありませんでした。
中でも、昔は「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」や「経管栄養(けいかんえいよう)」の処置を介護福祉士が当たり前のようにしていた時代もありました。
当時は業務の一環として教えられることも多く、特に疑問に思う事なく介護福祉士でも処置をおこなって来た背景があります。
今考えると、とても怖いことですよね。
平成24年より「喀痰吸引等制度」が開始されたため、介護福祉士が担える経管栄養の処置が確立されました。
私もケアマネージャーの仕事をしているので、現場の介護福祉士さんから不安の声があがることがあります。
「これは違法なのでは?」「私は罰則をうけるのではないか?」
など、不安を抱えたままの仕事は嫌ですよね。
そんな不安が少しでも解消でるよう、介護福祉士が行える経管栄養の処置について説明したいと思います。
介護福祉士が経管栄養の処置をするのは違法になるの?
経管栄養の処置は「医業」に分類されます。
医師や看護師等の免許をもたない者の医業は、医師法その他の関係法規によって禁止されています。
資格がない人が医療行為を行うと、違法となることを知っておきましょう。
介護福祉士が経管栄養を実施することは、基本的には禁止で罰則もあります。
では、なぜ介護福祉士が経管栄養の処置を行っていた時代があったのでしょうか?
介護福祉士が経管栄養の処置を担っていた背景とは?
ひと昔前、特に24時間体制で完全介護をしている施設は、経管栄養の処置を介護福祉士も担っていることが多くありました。
看護師の配置が少ない事、医療ニーズが高いご利用者様が増加傾向にあり、介護福祉士も担う必要性が高い事が理由でした。
やむを得ない措置として違法性がないものとして容認されていたのです。
今では少なくなって来ましたが、昔の考えが根強いのか、当時の考えのまま処置を指示してくる看護師もまだまだいると聞きます。
これでは、介護福祉士としても不安が残り安心して仕事が出来ないですよね。
介護福祉士による経管栄養処置が違法にならないために
平成24年より法令の一部改正に伴い「喀痰吸引等制度」が開始されました。
一定条件をクリアした介護福祉士による経管栄養の医療処置が可能となったのです。
これまで容認されていた喀痰吸引と経管栄養は、明確に「医療行為」として位置づけされました。
今まで、疑問に思いながら実施していた喀痰吸引や経管栄養が、自信をもって実施できる事になり介護福祉士も安心感が高くなったと思います。
しかし、明確になったと言う事は、条件がクリアできていない場合の医療処置に対しては厳しい罰則があることを覚えておきましょう。
喀痰吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部の喀痰吸引をいう。第1において同じ。)及び経管栄養(胃ろう又は腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養をいう。第1において同じ。)の実施のために必要な知識、技能を修得した介護職員等(介護福祉士を含む)について、一定の要件の下に、喀痰吸引及び経管栄養を実施することができるものとした。
引用:厚生労働省
経管栄養の処置をするには研修&資格が必要となった
喀痰吸引や経管栄養は今まで容認されていた内容とはいえ、処置を行う際には危険が伴います。
介護福祉士が経管栄養を実施するためには、以下の条件を満たしている事が必須となりました。
- 喀痰吸引等研修を受講する(基礎研修+実地研修)
- 「認定特定行為業務従事者」の認定証を取得する
- 「登録喀痰吸引事業者」に登録済みの施設や事業所での実施に限られる
喀痰吸引等研修とは?
喀痰吸引等研修とは、介護福祉士が「たんの吸引」と「経管栄養」の医療ケアを実施できる人材を養成するための研修制度です。
医師の指示や看護師との連携によって「たんの吸引」「経管栄養」が実施可能となります。
喀痰吸引等研修は医療ケアを行う対象者によって研修の内容や費用も変わってきます。
対象者に合わせて、必要な研修を受けましょう。
研修先や費用については各都道府県HPにありますので必ず問い合わせを行いましょう。
介護福祉士資格取得者の必要な研修
平成27年度以降に国家試験に合格した介護福祉士については、以下のような取り扱いになります。
- 介護福祉士の登録を行い「介護福祉士登録証」が交付を受ける
- 事業者に就業後に「実地研修」を修了し、「修了証明書」の交付を受ける
- 社会福祉振興・試験センターへ「介護福祉士登録証」の変更手続きを行う
平成27年度以前に介護福祉士を取得している場合は上記②③の手続きが必要となります。
参考資料:振興・試験センター
介護福祉士が行える経管栄養処置の範囲をしっかり復習しよう
研修と資格を得たからといって、全てを処置できるわけではりません。
可能となる範囲は以下の事に限り、看護師との連携が必要不可欠となっています。
- 対象者の状態に関する情報の共有と報告・連絡・相談等の連携を図る
- 必要な物品を準備し、対象者のもとに運ぶ
- 注入中の状態を定期的に観察する
- 注入終了後、30~50mlの白湯又は茶を注入し、頭部を挙上した状態を保つ
- 食後しばらく対象者の状態を観察し、看護師に報告する
- 使用物品をすみやかに片付ける
- 施行時刻、施行者名等を記録する
まとめ
経管栄養の医療ニーズはますます増えて行くと言われています。
必要性が高いため、対応できるスキルを持つ事は、自分自身のステップアップにつながりますよね。
費用と時間はかかりますが、実際に現場で働いている介護福祉士からは「安心して処置ができる様になった」との良い報告がもらえました。
介護福祉士の立ち位置をはっきりさせることで、自信をもって医療ニーズにも対応していくことが可能となった成長の証でもありますね。
今後多様な医療ニーズに介護福祉士として不安なく対応していくためにも、研修の受講を検討してみてはいかがでしょうか?
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