介護施設でも、在宅介護でも、介護の現場では医療行為が必要になる事って多くありませんか?
でも介護士は、医療の専門知識を持った医療職ではないので、医療資格が必要な医行為は禁止されているんですよね。
「これって医療行為?」「それとも違うの?」「看護師さんにやっといて~て言われたけど、私たちがやっても良いの??」
判断に困ることはありませんか?
介護士がしても良い医療的行為と、禁止されている医行為について、徹底解説します。
そもそも医療行為とは
そもそも、医療行為や医療的行為ってどういう意味なのでしょうか?
具体的に説明していきますね!
医療行為とは、厚生労働省により、医師法第17条に定義されています。
医師しか行えない医療行為を絶対的医療行為「医行為」と言います。
看護師や私たち介護士が行えるのは、相対的医療行為と言います。
医師の指示や管理の元で行える医療的行為となります。
日頃から、医療職との連携が不可欠です。
介護士ができる医療的行為を一覧にしてみました。
- 体温測定
- 血圧測定
- 口腔ケア
- 爪切り
- 耳掃除
- パルスオキシメーターを使用した酸素測定
- 服薬介助
- 軟膏薬・貼付剤などの外用薬介助
- 点眼薬・点鼻薬・坐薬の介助
- 切り傷・擦り傷・やけどの処置
- ストーマパウチの排泄物除去
- 自己導尿の介助
- 市販浣腸薬による浣腸
- 痰吸引
- 胃瘻による経管栄養
- 褥瘡予防
それぞれに細かい制限や条件が厚生労働省で決められており、際限なくできるわけではないんです。
医療的行為よくある疑問Q&A
介護士でもできると一覧にあっても、どんなことでもできるというわけではなく、できること、できないことの線引きが難しいですよね。
ここでは、日々の業務の中で、よくある疑問を具体的にQ&Aで解決していきます!
Q1 腋の下で正確な体温がでないけど他の場所で測っていいの?
A 介護士ができるのは、水銀体温計や電子体温計で、腋窩測定と耳式電子体温計での鼓膜温測定です。
※口腔温、直腸温は介護士では測定できません。
Q2 血圧測定での決まりごとはありますか?
A 介護士でできるのは、電子血圧計での測定のみです。
※水銀血圧計での測定は介護士ではできません。
Q3 口腔ケアで注意することはありますか?
A 基本的に介護士で行えます。
誤嚥の可能性がある場合や、重度の歯周病で歯がぐらぐらしているなど、口の中に傷がある場合は、要注意です。
十分に看護師や歯科医、歯科衛生士とどこまで介護士が行っても良いか相談を行っておいたほうがいいですね。
担当者会議で議題にあげるのも良いと思います。
Q4 巻き爪とか切りにくい爪の方はどうしたらいいの?
A 糖尿病や爪自体に傷や異常がなく、爪の周りにも化膿や炎症がない場合は介護士で爪切りができます。ニッパーを使うこともokです。
でも、使いなれないと、ニッパーの使用は不安ですよね。
※爪白癬や変形が激しく、巻き爪になっている場合や爪の周りに傷がある場合は、受診が必要な場合があります。
ケアマネや看護師に相談をすることをおすすめします。
Q5 耳掃除はどこまでしていいの?
A 介護士では、耳から見えている範囲の耳垢を優しく取り除くところまでです。
※耳垢が溜まって外耳道を塞いでいる時や耳垂れがでているときは、ムリに取り除くのは危険だし、怖いですよね。
看護師や先生に相談をしてくださいね。
Q6 酸素は測ってもいいの?
A パルスオキシメーターでの動脈欠酸素飽和度(SpO2)の測定をすることは介護士で可能です。
ただ、状態が落ち着いていない人や入院が必要な人は介護士で測れないことになっています。
普段の酸素濃度より、低い場合は、すぐに上長やケアマネ、看護師に報告をいれておいてくださいね。
Q7 どんな薬でも介助していいの?
A 介護士で服薬介助可能な条件があります。
- 1包化されていること
- 状態が安定していること
- 副作用の危険性や服薬量などで、医師や看護師が連続的な経過観察が必要でない状態であること
- 誤嚥のリスクや薬の使用方法に専門的な配慮が必要でないこと
もし、薬が一包化されていない場合は、ケアマネに相談すれば、薬局で一包化してもらえます。
Q8 軟膏や貼付剤は介護士でも大丈夫?
A 介護士で基本的に可能です。
貼付剤でかぶれてしまったり、長くステロイド剤を塗布していると副作用が現れる場合があります。
皮膚に異常があれば、医療職に報告が必要です。
※褥瘡の処置やガーゼの交換は介護士ではできません。
Q9 点眼、点鼻、坐薬の介助の注意点は?
A 内服の服薬介助と同じように状態が安定している人、薬剤管理に専門的な知識がいらないことが条件となります。
坐薬は肛門から出血があれば、医師や看護師に指示を仰いでください。
事前に介助方法や、投与量、投与タイミング、保管方法などは、医師や薬剤師にしっかり確認しておく必要があります。
Q10 切り傷、擦り傷、やけどの処置は介護士がしてもいいの?
A 専門的な知識や技術を必要としない軽い傷の処置や汚物で汚染したガーゼ交換は介護士で行えます。
Q11 ストーマパウチの介助はしてもいいの?
A たまった排泄物を捨てることは介護士でできます。
※ストーマパウチの交換は介護士ではできません。
Q12 定期的に導尿が必要なんだけどどうすればいいの?
介護士ができるのは、自己導尿のお手伝いまでです。
具体的には、カテーテル等の物品の準備と導尿時の体位の保持介助は介護士ができます。
導尿自体は、ご利用者様ご本人やご家族、看護師にしてもらいます。
※導尿や留置カテーテルの管理は介護士ではできません。
Q13 排便がでないと言ってるんだけどどうしよう?
A 介護士でできる浣腸は制限があります。
市販のイチジク浣腸などの挿入部のチューブの長さが5㎝~6㎝程度、グリセリン濃度が50% 40gまでのものです。
血圧の低下や顔色の変化に注意をする必要があります。
※チューブの長さが10㎝以上ある物は、介護士ではできません。
※摘便は、介護士ではできません。
お腹のマッサージや肛門周りを刺激してあげることまでです。
Q14 自分ではインスリンが打てないけど介助をしていいのかな?
A インスリンは自己注射の見守りや以下の内容は介護士でもできます。血糖測定も同じです。
- インスリン注射を促す
- 血糖測定器や物品の準備
- 血糖値やインスリン投与量をご利用者様と一緒に確認する
- 使用済みの物品の片づけ
※介助が必要な場合は介護士ではできません。
Q14 痰吸引や経管栄養はどんな場合でも介護士がしてもいいの?
A 2012年4月の法改正で色々な条件付きで介護士でも行えるようになりました。
条件は、
- 養成施設等の研修を修了し、都道府県からの認定証が交付されている介護福祉士であること。
- 働いている事業所が都道府県に登録をしていること。
本当にあった今ではありえない医療行為の昔話
私が介護士の仕事に足を踏み入れた頃は、まだ介護保険制度も整っていませんでした。
どこからどこまでが医療行為なのかもはっきりしておらずあいまいでした。
ちゃんとした研修を受けたわけではないのに、看護師さんから指示され、その場で方法を教わっただけで、吸引や摘便も当たり前にしていましたね。
上司に、医療職ではないのにしてもいいのか聞いてみたこともありました。
上司からは、「看護婦さんに教えてもらったんだからいいでしょ?」
「あなたたちがやらないと誰がやるの?」という答えが返ってきた時代でした。
今では、考えられませんよね?
例えば、摘便や腹部マッサージは、もしかしたら、単なる便秘ではなかったかもしれません。
腸捻転や腫瘍などの病気が潜伏してた可能性も考えられます。
誤った吸引や経管栄養で、窒息や誤嚥等の事故を起こしていたかもしれません。
医療職ではない私たち介護士には、内臓の中の状態を見れるわけでもないし、解剖学を詳しく学んだわけでもありません。
医師や看護師のようにみっちり学生の頃から、技術を磨いたわけでもありません。
医療知識を学ぶことは、異常の早期発見をし、迅速に医療につなげることができるようになるので、不可欠なことですよね。
でも医療行為は、介護士でできること、できないことをしっかり把握し、できないことははっきりとNOと言えることが大切です。
福祉と医療の線引きがご利用者様も自分も守ることとなるんじゃないでしょうか?
まとめ
2012年の介護保険法の法改正で、介護士ができる医療的ケアは整備され明確になりました。
介護士ができるようになったとは言え、介護士が実施できる行為には制限や条件が多いです。
介護士としては、ご利用者様が「排便がでず、苦しんでいる。」「巻き爪で歩けない」などの訴えがあれば、すぐに対応してあげたいですよね。
看護師がすぐに対応できればいいのですが、看護師が不在の施設や訪問介護ではすぐに対応してあげられないことが実態です。
しかし、介護士がしてはいけない医療行為をすることによって医療行為違反という罰則もあります。
介護士ができる行為とできない行為をしっかり把握することが必要です。
医療的行為を行うには、研修を受けて、知識と技術を身につけることが大切です。
今回は、日頃、介護士から質問が多い医療行為についてまとめてみました。
これって介護士がしても良い医療的行為なのか?何か条件付きではなかったか?
現場で不安になったときや迷ったときに参考になればと思います。
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