介護士になるには

介護士国家試験に合格するには?効率的な試験勉強法と問題を解くコツ!

介護福祉士国家試験は出題範囲が広く、何から手を付けたらいいかわからないと思います。

特に、お仕事をしながら独学で試験の準備をしようとしている場合には、

限られた時間のなかで効率的に勉強したいですよね。

この記事では介護士国家試験合格のために、独学で勉強を始めようとしている人に向けて、

試験の概要や勉強方法、本番で問題を解くコツを紹介しています。

また、出願の手続きについても触れているので参考にしていただきたいと思います。

介護福祉士国家試験について

試験対策をするためには、まずは「どのような試験なのか?」を知る必要があります。

以下では試験日、試験科目、合格率、合格基準についてみていきます。

介護福祉士国家試験 試験日

試験は例年1月下旬に実施されています。

2022年は1月30日(日)に実施されます。

試験時間

(午前)10時00分~11時50分
(午後)13時45分~15時35分

午前と午後ともに1時間50分ずつ、合計3時間40分です。

介護福祉士国家試験 試験科目

介護福祉士国家試験の試験科目は以下の11科目群で、解答の方法はマークシート方式です。

科目「群」と言っているのは

  • 「人間の尊厳と自立」と「介護の基本」
  • 「人間関係とコミュニケーション」と「コミュニケーション技術」

上記が2科目で1科目群と数えられているからです。

問題数は全部で125問、1問1点の125点満点です。

科目ごとの配点は以下の通りです。

人間の尊厳と自立(2点)、介護の基本(10点) 計12点
人間関係とコミュニケーション(2点)、コミュニケーション技術(8点) 計10点
社会の理解 12点
生活支援技術 26点
介護過程 8点
発達と老化の理解 8点
認知症の理解 10点
障害の理解 10点
こころとからだのしくみ 12点
医療的ケア 5点
総合問題 12点

赤字で示した科目が午前の試験範囲で青字で示した科目が午後の試験範囲です。

午前は計68問を1時間50分(110分)で解きます。

1問あたり1分半ちょっとです。

午後は57問を1時間50分(110分)で解きます。

1問あたり2分弱です。

午前と午後で1問あたりに掛けられる時間が違うので注意しましょう。

介護福祉士国家試験 合格基準

合格基準は「問題の総得点の60%程度」かつ「指定の11科目群のすべてで得点すること」です。

問題は全部で125問、1問あたり1点なので、約75点以上の点を取り、

なおかつ11科目群すべてで得点することで合格です。

「60%程度」と幅があるのは、その年の問題の難易度によって合格点が補正されるからです。

直近5年間の合格点は以下のように推移しています。

29回 30回 31回 32回 33回
合格点 75点 77点 72点 77点 75点

最近は72点から77点で推移しているので、

80点以上取ることを目標に勉強されるといいでしょう。

また、0点科目があると不合格になってしまうので、極端な苦手科目を作らないようにしましょう。

介護福祉士国家試験 合格率

直近5年間の合格率は以下のように推移しています。

参照:厚生労働省 介護福祉士国家試験合格発表

合格率はだいたい70%前後です。直近の第33回試験は71%でした。

介護福祉士国家試験 勉強方法

ここからは介護福祉士国家試験合格に向けての勉強方法について解説していきます。

主に、必要な勉強期間、勉強の進め方について説明していきます。

また、独学ではどうしても不安という場合には試験対策講座を受講する手もありますので、

一部試験対策講座を紹介しています。

試験対策に必要な勉強期間

介護福祉士国家試験合格に必要な勉強期間についてお話します。

あなたの今までの実務経験や勉強の経験によって変わってくるとは思いますが、

大体6か月くらいを目安に準備をされると良いです。

あまり長すぎてもモチベーションの維持が大変になってしまいます。

本番が1月なので、前年の8月から9月ごろから準備を始めましょう。

テキストについても、翌年の試験に対応したテキストが出版されるのが4月から6月ごろです。

あまり早くにテキストを買ってしまうと1年古いテキストを買うことになってしまうので要注意です!

だいたいのテキストはタイトルに「2022」などと年数が書いてあります。

自分が受ける年と同じ年数のものを買いましょう

例えば2023年(令和5年)1月の試験を受ける場合はタイトルに「2023」と書かれているものを選んでください。

独学での勉強の進め方

最初に準備しておきたいものは以下の3種類の書籍です。

  1. 試験範囲の学習内容について解説された「テキスト」
  2. 最近数年間分の過去問と解説が載った「過去問集」
  3. 過去問の選択肢だけが集められた「1問1答の問題集」

これらの書籍を使ってどのように勉強していくのか、

以下から詳しくみていきましょう。

まず過去問を解く

まず過去問を解いてみることをおススメします。

時間を計って最初から最後まで問題を解いてみましょう。

最初は分からない問題ばかりかもしれません。

しかし、「自分が分かっていない部分が分かる」ことが勉強の第一歩です。

テキストを1ページ目から順番に読んでいくのではなく、

過去問を解いて間違えたところをテキストで確認するという順番で勉強すると効率がいいです。

過去問集には数年分の過去問が載っているので、

  1. 過去問を解く
  2. 間違えたところをテキストで確認
  3. 別の年の過去問を解く
  4. 間違えたところをテキストで確認

このサイクルを繰り返すことで知識が定着していきます。

そして、1問1答の問題集はコンパクトで持ち運びに便利なので、

電車に乗っている間などのスキマ時間を活用して勉強ができます。

オススメのテキスト

テキスト、過去問集、一問一答の問題集は同じ出版社のものを揃えると勉強しやすいです。

たとえば、過去問集の解説の中に「弊社テキストの~ページに解説が載っています」などの記載があるからです。

過去問を解いていて分からない部分をテキストですぐ調べることができます。

出版社の違いによる中身の違いはさほど大きくないです。

なので、どの出版社のテキストを使うかは、実際に本屋さんで手に取ってみて、

「解説の図が分かりやすいな」とか「表紙のデザインがいいな」など、

試験本番まで同じものを使いたいと思えるものを選ぶといいでしょう。

私の身の回りで介護福祉士国家試験の勉強をしている人は、中央法規出版のものを使っている人が多いです。

中央法規出版は多くの介護専門学校で使われている教科書「介護福祉士養成講座」を出版している会社で、信頼性が高いです。

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モチベーションを維持するにはどうしたらいいか

独学で勉強するときに、一番大変なことはモチベーションを維持することです。

モチベーションを維持するコツには以下のようなものがあります。

仲間と一緒に勉強する

周りにも介護福祉士国家試験を受験する人が居れば一緒に勉強したり、

「老人福祉法は何年に制定されたでしょう?」などと問題を出し合ってみるのも楽しいです。

※あまり難しい問題を出して嫌われないように注意しましょう。

勉強時間を記録する

今日は何時間、今週は何時間勉強したというのが目に見えて分かると、

「あと少しで合計50時間突破だ!」

「今週はあまりできなかったなから来週はもっと頑張ろう!」

というふうに、モチベーションアップにつながります。

下に勉強時間を記録するのに便利なアプリを紹介します。

「スタディプラス」は介護福祉士を目指して勉強している他のユーザーの頑張りも見れるので、その点でも勉強に前向きになれます。

Android版 スタディプラス

iPhone版 スタディプラス

勉強に集中できる環境を見つける

勉強場所は自宅がいいのか、喫茶店やファストフード店がいいのか、

「どこで勉強したら一番集中できるか」を探してみましょう。

私の知り合いは夜勤の前に職場近くのファーストフード店で勉強していました。

自分に合った勉強スタイルを見つけると、モチベーションの維持がしやすくなります。

試験対策講座を受講する

もし、一人で試験対策をするだけでは不安という場合は、資格スクールが開講している試験対策講座を利用する方法もあります。

ただし、費用が数十万円掛かる講座もあります。

独学だけでは不安、でも費用を抑えたいという場合は、

試験本番直前期に重要ポイントだけを復習できるコンパクトな講座があるので、そちらを利用するといいでしょう。

以下は三幸福祉カレッジの直前対策講座です。

全科目のポイントを1日でおさらいでき、1万円ほどで受講できます。

三幸福祉カレッジ 直前対策講座

介護福祉士国家試験 本番で問題を解くコツ

以下からは、試験本番に問題を解く際のコツを紹介したいと思います。

事例問題は選択肢から読む

介護福祉士国家試験には短文問題と事例問題があります。

短文問題は1,2行の問題文のあとに選択肢がある形式の問題です。

たとえば下のような問題です。

第33回問題 27(コミュニケーション技術の問題)

介護福祉職が利用者と信頼関係を形成するためのコミュニケーション技術
として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 利用者の意見に賛成できなくても同意する。
  2. 「○○ちゃん」と親しみを込めてお互いを呼び合う。
  3. 介護福祉職からは質問をせずに受け身の姿勢で聞く。
  4. 介護福祉職の価値判断に従ってもらう。
  5. 介護福祉職自身の感情の動きも意識しながら関わる。

出典:第33回介護福祉士国家試験

問題文が短いので、事例問題と比べると解くのに時間はかかりません。

ちなみに正解は⑤です。

事例問題は10行前後の文章で利用者様の状況説明があって、

介護士としてどのような対応を取るのが適切かを選択肢のなかから選ぶという形式の問題です。

問題文が長いので、短文問題と比べると解くのに時間がかかります。

試験時間は限られているので、いかに早く解くかが課題になります。

そんな事例問題を解くコツとしては、「選択肢を先に読む」ということす。

なぜなら、事例を読まなくても、選択肢だけで正解が分かる問題があるからです。

第33回(令和2年度)問題28、コミュニケーション技術の事例問題です。

事例文の後にある選択肢を先に見てみましょう。

問題28

初対面の娘と関係を構築するために介護福祉職がとる対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 友人のような口調で話す。
  2. 相手のペースに合わせて,表情を確認しながら話す。
  3. 会話が途切れないように積極的に話す。
  4. 密接距離を確保してから話す。
  5. スキンシップを用いながら話す。

出典:第33回介護福祉士国家試験

「初対面の娘」とあるのは「利用者様の娘」ということです。

この問題では「初対面の人と関係を築くとき、どのようなことに注意をすればいいか」ということが聞かれています。

選択肢を一つ一つ確認していきましょう。

①のように初対面の人と話すとき、友人のようの馴れ馴れしい口調で話すことは不適切ですね。

③の会話が途切れないように積極的に話すのは、相手が話すことができないですし、

考えをまとめる時間を持ってもらうことができません。

介護士が利用者様やその家族の相談に乗るときは相手の考えや意見をしっかり聞くことが大切です。

したがって③も不適切です。

④の密接距離というのは相手との距離が0~45㎝で、恋人や家族など親密な関係にある人との距離です。

「密接距離」の言葉の定義が分からなかったとしても、

初対面の人と「密接」というほどの距離で話したら相手に圧迫感を与えてしまうことは分かりますね。

したがって④も不適切です。

⑤の初対面の人といきなりスキンシップをとることも不適切です。

残った②の「相手のペースに合わせて,表情を確認しながら話す」が正解であると分かります。

このように、事例問題では事例を読まなくても解ける問題があります。

試験では限られた時間の中で125問の問題を解かなければいけません。

時間を短縮するためにも事例問題では選択肢を先に読んで、解ける問題は解いてしまうのがコツです。

参考に上記の問題28の事例を載せておきます。

〔事 例〕
Fさん(85 歳,女性)は,中等度の認知症(dementia)がある。

同居していた娘の支援を受けて生活してきたが、症状が進行してきたために、介護老人福祉施設への入所が決まった。

入所当日、介護福祉職はFさんの付き添いで来た娘に初めて会った。

介護福祉職が、「はじめまして。よろしくお願いします」と挨拶をすると、娘は少し緊張した様子で、「お願いします」とだけ答えた。

娘は、介護福祉職の問いかけに応えるまで時間がかかり、また、あまり多くを語ることはなかった。

持参した荷物の整理を終えて帰宅するとき、娘が寂しそうに、「これから離れて暮らすんですね」とつぶやいた。

出典:第33回介護福祉士国家試験

事例の内容は上記問題28を解く限りではさほど重要ではないことが分かっていただけたと思います。

なかには選択肢だけでは解けない問題もある

全ての事例問題が選択肢だけで解けるわけではないので、

「この問題は事例文も読まなきゃ分からないな」と判断してから、

問題を解くのに必要な情報を事例の文章のなかから探すようにしましょう。

消去法で考える

問題の選択肢は「これが絶対正解だ」という分かりやすいものは少ないです。

「明らかに不適切」だというものはすぐに分かる場合が多いです。

なので、先ほど第33回の問題28を解くときにも実践しましたが、

問題を解くときには、「明らかに不適切」な選択肢を消していき、

最後に残った選択肢が正解であると判断していくと解きやすいです。

この解き方を「消去法で解く」といいます。

マークシートのマークがずれていないか確認する

解答用紙に解答をマークをするときは問題の番号とマークの問題番号が合っているかしっかり確認しましょう。

1科目解き終わるごとにマークがずれていないかを確認するといいと思います。

最後まで解き終わってから「あれっ、マークが足りない!」なんてことになったら、全部マークを消して書き直しです!

今は「そんなミスするわけない」と思うかもしれませんが、

試験の緊張感のなかでは、普段しないようなミスをしてしまうことがあります。

「マークの問題番号を確認しながら解答する」

覚えておいてください!

模擬試験を受けよう

本番の試験は午前中に1時間50分、午後に1時間50分の計3時間40分です。

「3時間40分問題を解き続ける」ことは普通に生活していて、そうそうないと思います。

本番の緊張感を疑似体験するためには、理想としては模擬試験会場で受けることですが、

感染症の影響からか、最近は在宅受験のものが多いようです。

在宅受験での模擬試験は、自宅で問題を解いて、解答用紙を郵送すると、後日結果が返ってくる流れです。

上で紹介した試験本番のコツを模擬試験問題を解くときにも意識していただくと良いと思います。

時間配分を練習するためにも、本番と同じ午前10時から11時50分、午後1時45分から3時35分に問題を解いてみましょう。

結果が返ってきたら間違えたところをテキストで確認し、復習しましょう。

模擬試験受験には以下のメリットがあります。

  • 時間配分の練習
  • 自分が苦手な部分を再確認する

本番前に1回は受験しておくことをおススメします。

試験対策のテキストで紹介した中央法規は、模擬試験も実施しているので以下にリンクを貼っておきます。

中央法規 介護福祉士模擬試験

介護福祉士国家試験 出願の流れ

ここからは介護福祉士国家試験に出願する際の流れを説明します。

書類の提出期限が決まっているので、締め切りに間に合うように早めに準備をされることをお勧めします。

受験申し込みのスケジュール

まずは以下の方法で「受験の手引き」を取り寄せます。

  • ホームページにて請求する
  • 郵便はがきで請求する

社会福祉振興・試験センター

例年ですと、以下のスケジュールになっています。

6月下旬 出願手続きの詳細が発表

出願手続きについての詳細が社会福祉振興・試験センターの公式ホームページにて発表されます。

7月中旬 受験の手引き請求受付開始

受験の手引き請求受付が開始します。

8月中旬から9月中旬 試験申し込み受付期間

受験の手引きには出願に必要な書類、受験資格についての確認、受験料の支払い方法の説明などが記載されています。

受験料は18,380円です。

必要な書類を準備して、8月中旬から9月中旬の間に郵送します。

12月上旬 受験表発送

受験票が自宅に発送されます。

出願から受験表が発送されるまでの間に引っ越し等により住所の変更があった場合は、

受験申込書記載事項変更届の提出が必要です。

社会福祉振興・試験センター 受験申込書記載事項変更届

1月下旬 試験本番

1月下旬が試験本番です。

2022年は1月30日(日)です。

まとめ

ここまで、介護福祉士国家試験の概要、試験対策、出願の流れについて説明してきました。

・試験は例年1月実施

・問題は125問、1問1点の125点満点

・午前は68問、午後は57問

・試験時間は午前午後ともに1時間50分(110分)ずつ計3時間40分(220分)

・試験科目は

  1. 人間の尊厳と自立(2点)、介護の基本(10点)
  2. 人間関係とコミュニケーション(2点)、コミュニケーション技術(8点)
  3. 社会の理解
  4. 生活支援技術
  5. 介護過程
  6. 発達と老化の理解
  7. 認知症の理解
  8. 障害の理解
  9. こころとからだのしくみ
  10. 医療的ケア
  11. 総合問題

赤字が午前の科目、青字が午後の科目です。

独学での勉強では、テキスト、過去問集、一問一答の問題集があると便利です。

独学だけではどうしても不安なときは、試験直前期に行われるコンパクトな講座を利用すると、費用を抑えて対策講座が受けられます。

本番で問題を解くコツとして

  1. 事例問題は選択肢を先に読む
  2. 消去法で解く
  3. マークがずれていないかを確認する

の3点を紹介しました。

自分の苦手分野が分かったり、本番と同じ形式で問題を解く練習になるので、

模試は1回は受けておきたいです。

介護福祉士国家試験の出願手続きは例年6月下旬ころから始まります。

提出期限が決まっているので、早めに書類の準備をされることをおススメします。

介護福祉士国家試験に向けての準備に、この記事が参考になれば幸いです。

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