介護士になるには

介護士におすすめの資格「実務者研修」メリットと取得方法を解説

「介護の仕事を始めるのに資格を取りたい」

「実務者研修が気になっている。実際どんな資格なのか知りたい」

これから介護を始める方で上記のように考えている方は多いのではないでしょうか?

介護の資格は数が多く、どんな資格を取得すべきか迷いますよね。

現在は制度が変わり、メジャー資格だったホームヘルパーが廃止になるなど戸惑っている方も多いです。

そんな中、おすすめなのが「実務者研修」です。

実務者研修は国が推奨している資格です。

メリットが多く、内容も濃いためこれから介護を始める方にはおすすめです。

この記事を書いている私は介護歴30年で、実務者研修の上位資格にあたる「介護福祉士」や「ケアマネジャー」など様々な資格を所有しています。

今回はそんな私が「これから介護を始める方」に向けて実務者研修について分かりやすく解説していきます。

実務者研修はどのような経緯で生まれたのか

この資格が生まれた背景に介護人材の不足が上げられます。

国は「団塊の世代」が後期高齢者になるにあたり、2025年までに、毎年6万人の介護人材が必要と述べています。

参考:厚生労働省「福祉・介護人材確保対策について」

そのため介護人材の確保のために「事業所の人材定着」「介護職員のやりがいのアップ」などを目的に新たにキャリアパス制度を定めました。

その中で新たに資格化されたのが実務者研修です。

新たな資格を加えて、介護士のキャリアプランは下記のように整理されました。

※参考:厚生労働省「介護人材の機能とキャリアパスについて

これまではキャリアの道筋がなく、評価があいまいなことも職員の介護業界への不信感や離職につながっていました。

キャリアプランが整理されることで、介護職員は明確な目標を持ちやすくなったと言えます。

実務者研修を受けるメリット

では実務者研修を取得することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

主に下記の4つになります。

  1. 給与が上がる
  2. 介護福祉士国家試験の受験資格が得られる
  3. サービス提供責任者になれる
  4. 医療的ケアの知識と技術が身につく

それぞれ見て行きますよ。

メリット①給与が上がる

働く上で重要なのが給与ですよね。

実務者研修を取得することで資格手当という形で給与が上がります。

資格 平均月収
実務者研修 303,230円
無資格 275,920円

参照:厚生労働省 令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

上記は資格別の平均給与です。無資格者と比べると平均で2万5千円の差に。

この差は大きいですよね。

実務者研修は、多くの事業所で資格手当の対象となっています。

介護士を目指す際に「給与が気になる」という方もいますよね。そういった方にも実務者研修はおすすめですよ。

なお介護職員として給与アップしていきたい!という方は下記の記事も参考にしてください。

>>介護士の平均月収と給与を上げる3つの方法も紹介します

メリット②介護福祉士国家試験の受験資格が得られる

実務者研修を取得することで介護福祉士国家試験を受験することができます。

「介護福祉士」は介護現場で唯一の国家資格。キャリアパスでは実務者研修の次のキャリアになります。

介護福祉士は平成28年度から受験資格が変更されており、「実務経験3年+実務者研修を取得している」という条件が加わりました。

介護福祉士は「専門的な知識・技術の提供」「介護人材の育成」「現場のリーダー」などを期待されており、実務者研修以上にニーズのある資格です。

実務者研修を取得することで介護福祉士への大きな一歩を踏み出すことができますよ。

今後、キャリアを積んでいきたい方にも介護福祉士につながる実務者研修はおすすめですね。

メリット③サービス提供責任者になれる

「サービス提供責任者」とは訪問介護事業所にて

  • サービスの実施計画を作成
  • ヘルパーと入居者のサービス調整
  • ヘルパーの管理・指導
  • 適切にサービスが提供されているかモニタリング

上記のような仕事を行っています。

いわば利用者とヘルパーを結びつけるコーディネーター。事業所の中核を担う重要なポジションです。

サービス提供責任者になるには「実務者研修」や「介護福祉士」などの資格が必要とされています。

実務者研修を取得することでこのような重要な仕事も行うことができますよ。

資格を取得することで選択できる職種や、役割の幅が広がるのは介護職の良いポイントですね。

メリット④医療的ケアの知識と技術が身につく

実務者研修では「経管栄養法」「喀痰吸引」といった医療的ケアについても学ぶことができます。

高齢になると飲み込む力が低下して口から食事を摂ることができない方も。

そういった方へ、「胃ろう」と言われるチューブを胃に留置して栄養剤を流し込むことで栄養状態の改善を図ることがあります。

これを「経管栄養法」と言います。

また咳をする力が弱っており、痰を自力で吐き出すことができずに、唾液が気管に入って肺炎を起こす方も。

そういったリスクがある方に対して「吸引器」を用いて機械的に唾液を吸引します。これを「喀痰吸引」と言います。

「経管栄養法」と「喀痰吸引」は医療行為になりますが、2012年から一定の研修を終えた介護職員でも行えるようになりました。

実務者研修ではこうした医療的ケアも学ぶことができます。

介護職員として利用者の力になるためにはこうした専門知識は必須です。

実務者研修で正しい知識・技術を身に付けましょう。

※実際に「経管栄養」「喀痰吸引」を実施するには実地研修が必要です。

実務者研修の概要を解説

では、実務者研修はどのように取得するのでしょうか?資格の概要から取得方法までを見て行きますよ。

項目 内容
受講資格 なし
取得方法 スクリーニング+通信学習
取得までにかかる時間 450時間(1~6カ月)
必要な経費 10~20万円
修了試験 なし

受講資格はない。誰でも取得可能

年齢・学歴・実務経験は必要ありません。

実務者研修を開講しているスクールに申し込み、研修を受講することで取得可能です。

無資格・未経験者でも受講することができるので安心してください。

取得までにかかる時間は450時間

実務者研修は「試験を受けて合格で取得!」というものではありません。

定められた時間の学習を行い、認定を受けることで資格取得となります。

「無資格」から取得を目指すと450時間の学習が必要になりますよ。

利用するスクールにもよりますが、およそ3~6カ月はかかると考えておきましょう。

所有している資格によって学習時間の免除もあります。

すでに「ヘルパー2級を持っている」「介護初任者がある」という方は以下の表でどれだけ免除があるかを確認してみて下さい。

所有資格 免除時間 時間数
なし -0時間 450時間
介護職員初任者研修 -130時間 320時間
ホームヘルパー3級 -30時間 420時間
ホームヘルパー2級 -130時間 320時間
ホームヘルパー1級 -355時間 95時間
介護職員基礎研修 -400時間 50時間

学習方法は通信講座+スクリーニング

学習方法は「通学」もしくは「通信講座+スクリーニング」になります。

資格取得と仕事を両立したい方は自宅で学習を進められる「通信講座+スクリーニング」がおすすめですよ。

とはいえ最低でも450時間のうち45時間はスクリーニングで学習することが義務付けられています。

全てを「自宅学習」で取得することはできないので注意しましょう。

修了試験は無い

実務者研修に修了試験は義務づけれていません。

研修の全日程を受講することで資格の取得が可能です。

しかし、スクールによっては独自に試験を行っているところもあるので注意しましょう。

とはいえ、ほとんどが内容を確認する程度のもので、試験の合否で資格が取得できないということは無いので安心してください。

スクールを選ぶ際の3つのポイントを解説

「カイゴジョブアカデミー」「三幸福祉カレッジ」「ニチイ学館」など実務者研修が受講できるスクールは数多くあります。

スクールはどのように選べばいいのでしょうか。以下にポイントをまとめてみました。

  1. 金額
  2. スクールの場所
  3. 学習サポート

ポイント①金額

もっとも重要なのが金額ではないでしょうか。

それぞれのスクールによっても異なりますし、所有している資格によっては授業免除のため金額が安くなります。

参考までに「無資格者」が実務者研修を受けることを想定して大手スクールの金額を一覧にしてみました。

会社 金額
しかくの学校ホットライン 91,500円
カイゴジョブアカデミー 110,000円
資格の大原 115,700円
日本キャリアパスアカデミー 119,680円
未来ケアカレッジ 120,450円
三幸福祉カレッジ 129,700円
ニチイ 220,000円

※時期、地域、所有資格によって金額は異なります。

参考:各スクールHP 表の名前をクリックすると各HPに飛びます。

各スクールで独自の割引や地域によっても金額差があります。

下記で紹介する要素と合わせて慎重に選択しましょうね。

ポイント②スクリーニング会場の場所

「スクリーニング会場が自宅から近いか」もスクールを選ぶ上で重要です。

実務者研修では必ずスクリーニング(通学)が必要です。日数は6~10日間。

場所が遠いと

  • 交通費、宿泊費がかかる
  • 通学に時間がとられ学習意欲がそがれる
  • 仕事・私生活との両立が困難になる

上記のように余計な出費や、モチベーションの低下につながります。

スクールを選ぶ際は自分が通っている姿を想像して「会場が近い」「駅が近い」などの立地の良いものを選択しましょう。

ポイント③どのようなサポートがあるか

どのようなサポートがあるかもしっかり確認しておきましょう。

よくあるサポートでチェックしておきたいものは以下です。

事前に内容を確認しておきましょう。

  • 転職サポート
  • 振替受講制度
  • 介護福祉士受験対策講座

転職サポート

「転職エージェント」「転職サイト」を運営しているスクールにあるサービスです。

実務者研修を受けながら、「転職相談」「求人紹介」「転職アドバイス」などのサービスを受けることができます。

振替受講制度

急遽、研修を受講できなかった際に別日に振り替えが行えるサービスです。

会社によっては振替日が限定されている場合があります。

「無料で振り替えが行えるか?」「振替日の選択肢が豊富か?」は事前に確認しておきましょう。

介護福祉士受験対策講座

介護福祉士の受験も考えている方は、そのスクールが「介護福祉士受験対策講座」を行っているかも確認しておきましょう。

記事内でもお話しましたが、実務者研修は「介護福祉士」の受験に必要な資格です。

実務者研修を取得したスクールと同じところを利用することで割引や、無料で受講可能な場合があります。

実務者研修でよくきく疑問

最後に実務者研修でよくある疑問を見て行きましょう。

  • 初任者研修との違いはありますか。
  • 「初任者研修」「実務者研修」どちらから受講したらいいですか。
  • おすすめのスクールはありますか

質問①初任者研修との違いがよく分からない

実務者研修を調べている方は同時に「介護職員初任者研修」という言葉も目にしていると思います。

「介護職員初任者研修」は実務者研修の手前のキャリアにあたる資格になります。

違いを表にまとめてみたので参考にしてください。

介護職員初任者研修 実務者研修
受講資格 なし なし
研修時間 130時間 450時間
金額 10万円前後 10~20万円
修了試験 あり なし
介護福祉士の受験資格 ならない なる

制度が変わって名前を変えていますが、以前はヘルパー2級と言われていた資格です。

ちなみに実務者研修はヘルパー1級と言われていました。

  • ヘルパー2級→介護職員初任者研修
  • ヘルパー1級→実務者研修

130時間の研修を受講することで取得することができます。

実務者研修に比べて時間数は少なく、内容もより初心者向けになっていますよ。

また「介護職員初任者研修」は介護福祉士の受験資格にはなりません。

質問②「介護職員初任者研修」と「実務者研修」どちらから受講すべき?

「介護職員初任者研修」「実務者研修」どちらも受講資格ありません。

なので実は上位資格である実務者研修から取得しても問題はありませんよ。

コスト的にも、「実務者研修」を受ける際には「介護職員初任者研修」を取得している方に免除があります。

  1. 介護職員初任者研修→実務者研修の順に受講
  2. 実務者研修のみを受講

どちらも受講料に大きな差は出ません。

しかし、未経験者に向いているのは、より基礎的な内容の介護職員初任者研修です。

順序的には「介護職員初任者研修」→「実務者研修」の順に取得した方が学習しやすいでしょう。

ただ実務者研修をすでに取得している場合は下位資格である介護職員初任者研修を受ける必要はないですよ。

質問③実務者研修を受講するのにおすすめのスクールはありますか?

先ほどお話した通り、スクールは「スクリーニング会場」「金額」「サポート内容」など加味して選択しましょう。

研修の内容は国が定めているので、どこのスクールを選択しても大きくズレはありません。

また大手の会社はサービスが充実しています。どこを選んでも基本的に「はずれ」はありませんよ。

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10万円程度かかる費用が実質0円になるのは大きいですよね。

内容は下記から確認してみて下さい。

>>かいご畑HP

まとめ

今回は以下のことを解説しました。

  1. 実務者研修ができた経緯
  2. 実務者研修取得する4つのメリット
  3. 実務者研修の概要・取得方法
  4. スクールを選ぶ際の3つのポイント
  5. 実務者研修でよくある質問

介護は資格をとってナンボの仕事です。

実務者研修はこれからのキャリアを左右する大切な資格ですよ。

積極的に取得してスキルやキャリアをアップさせていきましょうね。

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