介護士の悩み

介護士の退職理由とは?離職率が高い職場を見分ける5つのポイント

「介護士を目指しています。この仕事は離職率が高いという話を聞いたのですが、本当ですか?」

上記のような声にお応えします。

介護士は、一般的に「きつい」「汚い」「危険」の3Kの仕事と言われています。

「人の役に立ちたい」と、理想を持って入職しても現実とのギャップから離職するケースも少なくありません。

私は30年間介護士として働く中で、実際に介護をやめていく人をみてきました。

この記事ではそんな私が「実際の介護士の離職理由」について語っていきます。

「離職率の高い職場を見抜くポイント」についてもお話しますので、働きやすい職場を見つけるヒントが得られますよ。

ぜひ最後までみていってくださいね。

 

介護士の離職率は14.9%

まずは、介護士の離職率についてみていきましょう。

2020年度の介護労働安定センターの調査では、介護職の離職率は14.9%となっています。

参照:介護労働安定センター「介護労働実態調査」

一見して、これが高いのか、低いのか分かりづらいですよね。

他の職業と比較してみましょう。

実は介護士の離職率は高くない

もっとも、離職率が高い業種は下記の3つです。

  1. 宿泊業、飲食サービス業26.9%
  2. 生活関連サービス業・娯楽業23.9%
  3. サービス業(他に分類されないもの)19.9%

逆にもっとも離職率が低い業種が下記になります。

  1. 建設業9.2%
  2. 複合サービス事業9.3%
  3. 製造業9.4%

平成30年雇用動向調査「産業別離職率(平成 30 年)」

これを見ると介護士の離職率がそんなに高くないのが分かりますよね。

とはいえ、決して「低い」とも言いづらい数字です。

では、具体的に介護士はどんな理由で離職しているのでしょうか?

 

介護職によくある5つの離職理由

「介護労働安定センター」によると介護士が離職する理由として下記が上げられています。

  1. 収入に不満・自分の将来に見通しが立たない30.6%
  2. 職場の人間関係に問題があったため23.9%
  3. 結婚・妊娠・出産・育児のため19.9%
  4. 法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不備があったため17.2%
  5. 他に良い仕事・職場があったため16.9%

参照:介護労働安定センター「介護労働実態調査」

それぞれ詳しくみていきましょう。

収入に不満・自分の将来に見通しが立たない

もっとも多い離職理由が「収入面」「将来性」に関するものです。

介護士の平均給与は以下です。

勤務形態 平均月収 平均基本給
常勤 315,850円 170,460円
非常勤 196,630円 145,990円

月収をみると高そうな印象ですが、平均の基本給が17万円です。

平均月収は「夜勤手当」「資格手当」を含めての額になりますよ。

私の経験では、各種手当の条件によっては、手取りで20万円を下回るということも十分考えられます。

給与は働く上で重要です。

こういった理由が上位にあがるのは当然と言えますよね。

なお、給与に関する職場選びのコツは下記の記事を参考にしてみてください。

介護士の平均月収と給与を上げる3つの方法も紹介します

職場の人間関係に問題があったため

次いで多いのが「人間関係」を理由にした離職です。

介護士の人間関係には下記の特徴があります。

  1. 圧倒的な女性社会である
  2. 人間関係は閉鎖的になりがち
  3. 「利用者」「家族」「職員」の3つの人間関係がある
  4. 他職種とも交流できる

具体的な「介護士が抱える人間関係の不満」ですが、介護労働安定センターから下記のデータが出ています。

職員に対しての悩み、不安、不満等(複数回答)

  1. 「自分と合わない上司や同僚がいる」21.2%
  2. 「部下の指導が難しい」が 20.3%

参照:介護労働者の就業実態と就業意識調査

もっとも多かったのが上記のふたつの意見です。

介護職は女性が多い職場です。

女性特有の人間関係の難しさに加えて、「シンプルに合わない人間がいる」ことが離職につながっていますよ。

なお、人間関係の良い職場を選ぶ方法は下記の記事を参考にしてください。

介護士の職場は女性社会!?人間関係で失敗しない職場選びと付き合い方のコツとは

結婚・妊娠・出産・育児のため

介護業界は女性が多い職場です。

そのため、こういった理由での離職も多くなっています。

介護士の男女比は下記です。

男性 女性 無回答
全体 20.9% 72.3% 6.9%

参照:介護労働安定センター 令和2年度介護労働実態調査

こうした理由が上位にあがるのも無理はありませんよね。

逆に男性職員は、こうした理由での退職が少ないので事業所からしても嬉しい存在ですよ。

女性多くて心配?男性介護士に期待されることと将来性

法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不備があったため

「人と関わる仕事がしたい」「やりがいのある仕事がしたい」

上記のように志が高い介護士ほど

  1. 「利益を追求する経営者」
  2. 「利用者を見ようとしない上司」
  3. 「職員を評価しようとしない管理職」

など、「理想と現実にギャップ」や、「自分ではどうしようもない現状」に心が折れてしまいます。

私の経験上、まじめな人ほど、こうした理由で退職していく印象ですね。

なお、下記はそうしたストレスの解消についての記事です。

よければ参考にしてください。

【もう心が辛い…】と感じる介護士必見!ストレスに強くなる考え方3選

他に良い仕事・職場があったため

「給与」「労働環境」「人間関係」から、他に良い職場を見つけて転職していくケースです。

ポジティブに考えると、「こういった理由が上がる=介護業界は転職がしやすい」ということです。

介護職は、業界全体で人手不足です。

「資格がある」「経験がある」という場合は、事業所から重宝されますよ。

条件の良い事業所へ転職しやすいというのは、むしろメリットとも言えますよね。

 

離職率の高い職場を見分ける方法

ここまで、退職理由をみてきて少しげんなりしましたよね。

では、どうすれば「離職率の高い職場」を見分けることができるのでしょうか?

ポイントは5つあります。

  1. 給与が極端に高い
  2. 常に求人募集が出ている
  3. 施設に清潔感がない
  4. あいさつがない
  5. 年間休日が少ない

給与が極端に高い

同じ地域の平均給与に比べて、極端に給与が高い事業所には注意しましょう。

それだけ給与を上げないと人が集まらないということです。

当然、ホワイト企業の可能性もありますが、額面だけ見て「えっ、条件いいじゃん」と思わないようにしましょう。

給与が極端に低い

逆に、給与が低すぎる場合も要注意です。

シンプルに「給与が低い=離職」につながる要素なので、離職率も高い可能性がありますよ。

また、「介護職員処遇改善金」「介護職員等特定処遇改善金」を職員へ還元していない事業所には注意しましょう。

このふたつは、「介護士の育成に取り組んでいる事業所に、国から支払われているお金」です。

職員への還元を目的としている制度ですが、事業所にお金の使い方は委ねられています。

まったく職員へ還元していないという事業所はブラック企業の可能性がありますよ。

確認方法ですが、求人情報に記載がない際は、職場見学の際に直接確認してみましょう。

お金のことは重要ですし、よくある質問なので担当者も嫌な印象は持ちませんよ。

常に求人募集が出ている

常に求人が出ている事業所にも要注意です。

それだけ、人の出入りが激しく、離職率が高い可能性があります。

「人間関係が悪い」「労働環境が悪い」「職員を大切にしない職場」

どちらにしてもブラック企業の可能性が高いです。

施設に清潔感がない

清潔感の無い施設では、職員のモチベーションも維持できませんよね。

施設は「利用者の生活空間」です。

そこが汚れているというのは、介護士がしっかり仕事をしていない証拠でもありますよ。

また、においにも注意してみましょう。

「換気」は介護の基本です。

「便臭がする」という場合は、そこまで介護士の意識がいっていないか、手が回らないほど忙しい職場の可能性がありますよ。

あいさつがない

あいさつは良好な人間関係を築いていくための基本です。

職場見学に行って、職員のあいさつがない事業所には注意しましょう。

来訪者にあいさつがない事業所では、介護士間でもあいさつが無く、人間関係が悪い可能性があります。

実際に退職理由にも、「人間関係」が上位にあがっていますよ。

出勤時にあいさつができない職員と気持ちよく働くことができるでしょうか?

職場見学の際は、職員の態度もしっかりみておきましょう。

年間休日が少ない

厚生労働省の調査によると、企業の平均年間休日数は109.9日になっています。

参考:厚生労働省 令和2年就労条件総合調査

長期的に働くには、休みと仕事のバランスは重要ですよね。

ただでさえ、介護職は肉体労働ですから、極端に休みが少ない職場は身体を壊す原因や、離職につながる可能性があります。

平均である110日前後を目安に職場を探してみるといいですよ。

ただし、掲載と実態がかけ離れている場合もあり、実際のところは、働いている職員にきいてみたり、働きはじめないとわかりません。

 

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転職エージェントの詳細は、下記の記事をご覧ください。

ひとりでの転職が不安な介護士必見!おすすめの転職エージェント3選

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まとめ

本日は以下のことについて解説しました。

  1. 介護士の離職率は14.9%
  2. よくある退職理由は5つ
  3. 退職率が高い職場を見分ける5つの方法
  4. ひとりでの転職が不安なら「転職エージェント」を利用しよう

介護士は他業種に比べて、思ったほど離職率が高い仕事ではありません。

とはいえ、まったく離職者がいないとも言い難いです。

事前に退職理由を知ることで、対策を練ることができますよ。

この記事で、理解した内容を元に働きやすい職場をみつけて下さいね。

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