「介護士は底辺職だ!」
そんな職業差別な発言を、SNSやネットなどで、見かけたことがあるのではないでしょうか。
私は、社会に出て毎日一生懸命働く労働者には上も下もなく、みんな等しく誰かの役に立っている大事な存在なのだと思っています。
しかし、悲しいことに世の中には明らかな職業差別が存在していて、職業によって人の優劣が決まってしまうこともあります。
超高齢化社会と呼ばれ、介護を必要とする高齢者の増加により、絶対になくてはならない職業の介護士は、利用者さんの夢をかなえる魅力がいっぱいの仕事なんです。
これから介護士の仕事につく人、介護士という仕事に興味がある人へ向けて、介護士という仕事の魅力を紹介していきたいと思います。
介護士が底辺と言われる理由
なぜ、介護士は底辺だといわれているのでしょうか。
まずはその理由からみていきましょう。
誰にでもできる
人は、自分のできないことができる人を尊敬したり、憧れたりするものです。
ですが、自分でもできる、その人じゃなくてもできると思うことに対しては興味を持ちません。
場合によっては見下すような発言や態度をとる人もいます。
つまり、世間の目から見た介護士の仕事は「誰でもできる仕事」と思われているということです。
本当に介護士の仕事は誰にでもできる仕事なのでしょうか。
残念ながらできます。
まず、学歴や職歴が問われることはほとんどなく、施設側はよっぽどのことがない限り不採用にすることがありません。
というのは、慢性的に人手不足のため、大抵の施設は人員が確保できるなら、と誰でも手放しで採用してしまっているからです。
リストラや就職難により、最後にたどり着いた職業が介護士だったという人も多く、最初から介護士を目指していた人が珍しいくらいです。
介護士の仕事の大部分は、資格も不要な日常生活を普通に送れる人なら誰でもできるような簡単な仕事になっています。
なかには、資格や専門的な知識をもっていないとできない仕事もあるのですが、世間一般からはそのような側面は見えません。
目につくのは簡単な仕事ばかりで、専門性のある仕事ということに気付く人は少ないのでしょう。
しかし、介護の現場で働く職員のほとんどは、自分の仕事に自信とプライドをもっていて、底辺と考えている人は少ないんですよ。
汚いこともしなければならないから
「3K」という言葉を聞いたことはありませんか。
3Kとは汚い、きつい、危険のローマ字表記を頭文字を取った言葉で、労働環境や業務内容が汚い、きつい、危険な仕事を指します。
介護士の仕事は汚物処理がメインの仕事というイメージが強く世間一般では3Kに属すると言われています。
確かに、介護士の仕事には、排泄介助とおむつの交換は避けられない業務です。
慣れてしまえばなんの問題なく行えるのですが、どうしても慣れない人もいるようで、それが原因で退職してしまうこともあります。
しかし、勘違いしてほしくないのは、介護士は一日中汚物の処理をしているわけではありません。
事務仕事やミーティング、レクリエーションなどたくさんの業務をこなしているということを、知ってもらいたいと思います。
そして、汚物を決して素手で触っているわけではないということ。
介護士でも素手では触れませんし、毎回グローブを交換して処理しているんです。
むしろ、介護施設は感染対策や環境整備に、かなり気を使っているのでとても清潔なのです。
肉体労働だから
肉体労働、というのはどうしても「底辺職」の条件になってしまうようです。
デスクワークと違い、体が資本となる肉体労働は、ケガなどで動けなくなってしまったときに仕事がなくなってしまうリスクがあります。
力のいる仕事、ましてや扱うのが人間ということもあり、気を使って体を動かすことで、無理な体勢をとることもあるので腰を痛めてしまう人が多いのも事実です。
しかし、ボディメカニクス(てこの原理を使った体の動かし方や支え方)をしっかり学べば自分より重い利用者さんだって楽に動かすことが可能になります。
たくさんの経験や知識が積み重なって、現代の介護職は少しづつ負担が減ってきているのです。
底辺だという前に、肉体労働者の大変さと必要性を考えてほしいと思います。
給料が安いから
介護士は給料が安い!
給料の安い職業=底辺という考えの人もいるのでしょう。
確かに、介護士の給料が高いとは言えません。
厚生労働省調べによる令和2年の介護士の平均年収は320万円程。
看護師の平均年収は491万円となっているので200万円近くも低くなっています。
なぜ、介護士は給料が低いのか。
その原因は、国家資格などの、特別な資格を必要としない職業だからとりあえずで誰でもできてしまうからです。
しかし、現在介護業界の人手不足解消のために、国が処遇改善加算という交付金制度が設立され介護士の給料が少しずつ上がってきています。
いずれは、もっと上がっていくのではないか、という見通しなので、ある意味これから注目される職業でもあると言えます。
介護士の4つの魅力
底辺だと揶揄される一方、実際働く人からは「素晴らしい職業だ」「毎日充実していて楽しい」などプラスな発言が多い介護士。
ここからは、介護士が感じることができる4つの魅力をご紹介していきたいと思います。
やりがいがある
冒頭でもお話ししたように、介護士は利用者さんの夢をかなえる仕事だ、と私は思っています。
毎日おむつ交換や食事の介助をしているわけでなく、利用者さん一人一人に目標があり、目標達成に向けて日々支援を行います。
自分でご飯を食べれるようになる、トイレへ行けるようになるなど、大小様々な目標があります。
その目標を達成するにはどうすればいいかとプランを立て、実行していくのも介護士の仕事なのです。
日々の生活をサポートしていく内に、利用者さん一人でできることが増えていきます。
利用者さんの笑顔も増えていき、その変化を間近で見れることは大きなやりがいにつながります。
利用者さんが、笑顔で伝えてくれる「ありがとう」の一言で介護士をやっていてよかったと実感できます。
やりがいについて、実話も交えて詳しく解説している記事がありますので、合わせてよんでみてください。
たくさんのことを学べる
介護士は、高齢者と深く関わることが多い職業です。
人生を長く生きてきた方は、今の自分では到底及ばないような考えや知恵を持っていて、それを私たちに教えてくれます。
また、高齢者は現代人の私たちと違い、せかせかしていたり、すぐにイライラしたりせずとてもおおらかで、心にゆとりがあります。
そんな高齢者と過ごす時間のなかでは、とても多くのことを学ぶことができます。
働きやすくて自由が利く
介護士は休めない、夜勤があり労働時間が長い、など自由が利かないイメージがあると思います。
しかし、介護には様々な働き方があるので、一度求人を見てほしいと思います。
デイサービスと呼ばれる通所型の施設なら、日中だけの勤務で、土日は休みという働き方もあります。
24時間営業している入居型施設でも、日中だけの勤務を希望することは十分可能です。
夜勤専従と呼ばれる夜勤専門の働き方なら、月の出勤は10日ほどで、残りの時間は自由に過ごすという働き方もあります。
保育園や託児所が併設され、子育てしやすい環境を整えている施設もあるので、自分のワークスタイルにあった、自由の利く職場を探すことができます。
キャリアアップがしやすい
介護の業界には、キャリアアップに対する、性別や年齢のハンデがありません。
70代の人でも、健康な人なら現役で働いていますし、私の知り合いは65歳の時に介護福祉士の国家試験に合格しています。
無資格でも始められる介護士ですが、資格保有者は手厚い資格手当により、給料が格段に上がります。
さらに、資格の取得費用を施設が負担してくれたりと、資格が取りやすい環境が整っています。
介護士を経験して、ケアマネージャーの資格を取得すれば、独立して開業することだってできてるので、積極的にキャリアアップを狙っていきましょう。
まとめ
・介護士は、誰にでもできる仕事だけでなく、専門性のある仕事がある。
・介護士の仕事は、汚物処理がメインではない。
・やりがいがあり、たくさんのことを学ぶことができる。
・たくさんの働き方があり自由が利く。
・キャリアアップしやすく、資格取得で給料が増える。
介護士が底辺だ、というイメージは実際に携わったことのない人のものです。
実際に働く職員は、みんなやりがいや自信をもって、毎日楽しみながら仕事をしています。
介護士を始める人、興味を持っている人は迷わずその一歩を踏み出してください!
そこには、充実したやりがいと達成感の日々が待っています。
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